不動産STと年金・税金の関係― 年金世代が特に注意すべきポイント ―

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年金を受け取りながら、預貯金だけでなく投資も活用したいと考える人が増えています。
その中で注目されているのが、少額から投資できる不動産ST(セキュリティ・トークン)です。

しかし、年金世代の場合、不動産STの収益が
年金や税金、社会保険料にどのような影響を与えるのかを理解しておかないと、
「思ったより手取りが増えない」という事態になりかねません。

本記事では、年金世代が不動産STに投資する際に特に意識すべき
年金と税金の関係を整理します。

年金世代にとっての不動産STの魅力

年金世代が不動産STに関心を持つ理由は、比較的はっきりしています。

・少額から投資できる
・実物不動産の管理が不要
・分配金という形で定期的な収入が見込める

これらは、年金を補完する収入源として魅力的に映ります。

ただし、この「分配金」が税務上どう扱われるかが重要です。

不動産STの分配金と年金の合算関係

不動産STからの分配金は、原則として「雑所得」として扱われます。

年金受給者の場合、
・公的年金等は「雑所得(年金)」
・不動産STの分配金も「雑所得」

となり、同じ雑所得の中で合算されます。

このため、
「年金+不動産STの分配金」の合計額が増えると、
課税所得が一段階上がるケースがあります。

年金控除があるから安心、とは限らない

年金には公的年金等控除があり、
一定額までは税金がかからない仕組みになっています。

しかし、不動産STの分配金には
公的年金等控除は適用されません。

その結果、
・年金だけなら非課税だった
・不動産STの分配金が加わったことで課税対象になった

というケースが実務上よく見られます。

「少額投資だから影響は小さい」と思い込むのは危険です。

所得税だけでなく住民税にも影響する

年金世代が見落としやすいのが、住民税への影響です。

所得税がかからない場合でも、
・住民税は課税される
・均等割や所得割が発生する

ということがあります。

不動産STの分配金があることで、
これまで住民税非課税だった人が課税対象になる可能性もあります。

社会保険料への間接的な影響

原則として、不動産STの分配金そのものが
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の直接の算定対象になるかは、
自治体や制度によって取り扱いが異なります。

ただし、
「所得が増える」という事実そのものが、
保険料区分の判定に影響する場合があります。

特に、
・国民健康保険に加入している人
・75歳未満の年金世代

では注意が必要です。

売却益が出た場合の注意点

不動産STを売却して利益が出た場合、
その利益も所得として扱われます。

この場合、
・年金収入
・分配金
・売却益

が同じ年に重なると、
税負担が一気に増えることがあります。

年金世代の場合、
「売却する年」を意識することが非常に重要です。

年金世代が不動産STを使うときの考え方

年金世代にとって、不動産STは
「節税商品」ではありません。

むしろ、
・収入の補完
・資産の分散

という位置づけで考えるのが現実的です。

税金や保険料への影響を把握したうえで、
「手取りベースでどうなるか」を確認することが欠かせません。

結論

不動産STは、年金世代にとって
新しい収入源になり得る一方で、
年金・税金・社会保険との関係を誤解すると負担が増える可能性があります。

重要なのは、
収益の額そのものではなく、
年金と合算した後の所得全体を見ることです。

年金世代こそ、
投資の前に税務面を一度立ち止まって確認する姿勢が求められます。

参考

・日本経済新聞 不動産ST・年金関連記事
・公的年金と税金に関する解説資料
・金融商品と高齢期の資産管理に関する専門資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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