不動産投資というと「利回り」「安定収入」といった投資家目線で語られることが多いですが、実際には 地域社会やまちづくりにも大きな影響 を与えています。
底地(そこち)ビジネスやクラウド型投資、海外REITの普及により、不動産は「資産運用商品」であると同時に、地域の暮らしや産業を支えるインフラ としての側面が改めて注目されています。
1. 店舗存続と底地ビジネス
最近拡大している底地ビジネスは、単なる投資対象ではなく 地域の店舗や雇用を守る仕組み にもなり得ます。
- 例:イオンリテールは大阪府泉佐野市のショッピングモールで、土地を専門業者が買い取り、イオンは建物を保有。土地代を支払いながら営業を続ける形を選びました。
- 結果として、地元住民にとっての商業拠点が存続 し、雇用や地域経済にもプラスに働きます。
👉 投資家にとっては「安定した地代収入」、地域にとっては「生活インフラの維持」。双方にメリットがあるモデルです。
2. サブリースと地域の空室対策
サブリースは「家賃保証」として投資家に安定収益をもたらす仕組みですが、実は 空室問題が深刻化する地方都市の救世主 という一面もあります。
- 高齢化で賃貸需要が減るエリアでも、サブリース契約によって空室が埋まりやすくなる
- 不動産会社が管理に関与することで、老朽化した物件の改修が進むケースも
👉 地域にとっては「空き家・空室リスクの低減」、投資家にとっては「安定利回り」となるため、双方の利害が一致します。
3. クラウド型不動産投資と地域開発
クラウドファンディング型不動産投資は、地域開発やまちづくりを“みんなで応援する投資” という側面があります。
- 地方のホテル再生プロジェクトや、商店街の再開発案件など、小規模な案件にも投資家が少額で参加可能
- 投資家は分配金を得ながら、「地域を応援している実感」 を持てる
👉 投資を通じて「観光の復活」「地元産業の支援」といった社会的インパクトをもたらせるのは、クラウド投資の新しい魅力です。
4. 海外REITと地域社会の距離感
海外REITは世界の成長市場にアクセスできる点で魅力的ですが、地域との直接的な関係性は薄い のも事実です。
一方で、国内REITは都市開発や商業施設の運営を通じて、雇用創出や都市の価値向上 に直結します。
👉 投資家としては「どのREITが地域社会にどんな影響を与えているか」を意識して選ぶことが、社会的リターンを意識した投資につながります。
まとめ
不動産投資は「お金を増やす手段」であると同時に、地域の暮らし・店舗・まちづくりを支える存在 でもあります。
- 底地ビジネス → 店舗存続や雇用維持に貢献
- サブリース → 地方の空室リスクを減らし、物件管理を促進
- クラウド型投資 → 投資家が“地域開発の応援団”として関われる
- 国内REIT → 都市機能強化や地域価値の向上に直結
これからの不動産投資は、「利回り」だけでなく 地域社会へのインパクト を考慮することが求められます。
投資を通じて、自分のお金が どの地域を支え、どんな暮らしを守っているのか――その視点を持つことで、投資はもっと意義深いものになるでしょう。
📖参考
「底地ビジネス」10兆円市場:日本経済新聞(2025年9月29日付)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

