マンション価格の上昇が続いています。
2026年もこの傾向は変わらないという見方が、業界関係者の間では支配的です。日本経済新聞の記事では、新築マンション価格の上昇が「需要の強さ」と「供給制約」という構造的な要因によって支えられていることが改めて示されています。
一方で、一般的な所得層から見ると、マンションが「手の届かない存在」になりつつあるという違和感もあります。本稿では、なぜマンション価格は下がらないのか、どこに転機があり得るのかを整理します。
需要が強い理由――都心集中と購買層の変化
マンション価格を押し上げている最大の要因は、都心部における需要の強さです。
特に東京23区、とりわけ都心3区や交通利便性の高い区では、価格の伸び率が高い状況が続いています。
購入層の中心は30代前半の共働き世帯で、世帯年収は1300万円から2000万円程度とされています。いわゆる「パワーカップル」が、通勤利便性や時間価値を重視し、職住近接を優先して購入している点が特徴です。
この層にとっては、金利水準が多少上昇しても、購入判断に大きな影響は出にくいと考えられています。結果として、都心部では高値でも買い手がつく状況が続いています。
郊外との価格差が拡大する構造
一方、郊外マンションの購入層は、都心とは性格が異なります。
片働き世帯や、夫婦の一方がパート勤務といった世帯も多く、職住近接の必要性は必ずしも高くありません。その分、購買力には上限があり、価格は抑えられやすい傾向があります。
この結果、東京23区と郊外の価格差は過去5年間で拡大してきました。2026年もこの傾向は続くと見られています。マンション市場は一枚岩ではなく、エリアごとに全く異なる需給環境に置かれている点が重要です。
供給が増えない理由――建設コストと供給能力の制約
価格が下がらないもう一つの理由が、供給量の減少です。
首都圏の新築マンション販売戸数は、2000年頃の約9万5000戸から、現在では3万戸を下回る水準まで減少しています。
背景には、地価の上昇、資材価格の高騰、円安の影響があります。さらに大きいのが、建築業界における働き方改革です。週休2日制の定着や残業規制により、以前のような工期短縮が難しくなり、年間に供給できる建物の総量自体が制限されています。
需要が強い一方で、供給が増えない。これが、価格上昇が続く基本構造です。
金利上昇は転機になり得るのか
注目されるのは、金利の動向です。
足元では金利が上昇していますが、現時点では販売に大きな影響を与える水準ではないとされています。ただし、今後さらに金利が上昇すれば、状況は変わる可能性があります。
住宅ローン金利が上がれば、購入可能額は確実に下がります。これまで価格上昇を支えてきた要因の一つが欠けることになり、エリアや物件によっては価格が頭打ちになる局面も考えられます。
もっとも、その影響が最初に表れるのは、購買力に余裕の少ない層が中心のエリアになる可能性が高い点には注意が必要です。
結論
マンション価格の上昇は、投機的な動きだけで説明できるものではありません。
都心部に集中する高所得共働き世帯の需要、供給量の構造的な制約、建設コストの上昇といった要因が重なり、簡単には崩れない構造が形成されています。
一方で、金利上昇が進めば、エリアごとの「選別」はより鮮明になるでしょう。
今後のマンション市場を考えるうえでは、「全体が上がるか下がるか」ではなく、「どこが、誰にとって、どう変わるのか」という視点がますます重要になっていきます。
参考
・日本経済新聞「マンション価格 上昇傾向、今年も継続」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

