※この記事は一般社団法人ペットフード協会「令和6年全国犬猫飼育実態調査」およびアニコムグループ「家庭どうぶつ白書 2024」を基に作成しています。
近年、ペットとして飼育されている犬や猫の寿命は大きく伸びています。ペットが長生きすること自体はとても喜ばしいことですが、その一方で気になるのが「医療費の負担」です。人間のような公的医療保険制度がないため、動物病院での治療費は原則として全額自己負担となります。ペットの長寿化が進む今、将来の医療費に備えるペット保険の重要性が高まっています。
ペットの長寿化と医療費の現状
一般社団法人ペットフード協会が実施した「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の平均寿命は14.9年、猫は15.9年と報告されています。かつてと比べても大幅に長寿化が進んでおり、シニア期の医療ニーズは確実に増えています。
アニコムホールディングスの「家庭どうぶつ白書 2024」によれば、年間の平均治療費は犬で5万6,134円、猫では3万6,617円です。また治療費は高齢になるほど増える傾向があります。特にシニア期には、慢性疾患や内臓疾患の治療、通院の頻度増加など、医療費が家計に与える負担が大きくなりがちです。
ペット保険の役割
こうした医療費の負担に備えるのがペット保険です。
ペット保険に加入しておくことで、
- 急なケガや病気で高額な治療費が発生した
- 長期通院が必要になった
といった状況でも、治療費を理由に必要な医療を諦めるリスクを軽減できます。
補償内容は主に以下の3つに分類できます。
- 通院補償:診察料、薬代、検査費など
- 入院補償:入院中の治療費や管理費
- 手術補償:外科手術にかかる費用
特にシニア期は通院・検査・投薬が増える傾向があり、通院補償の重要性が高まります。
補償対象外となるケース
ただし、ペット保険には「補償されない費用」も多くあります。
代表的なものは以下の通りです。
- ワクチン接種・フィラリア予防・ノミダニ駆除などの予防医療
- 健康診断
- 避妊・去勢手術などの予防的処置
- 加入前からあるケガ・病気(既往症)
日常的な予防医療は対象外であることが多いため、保険に加入しても一定の自己負担は避けられません。
加入前に必ず確認したいポイント
ペット保険は保険会社ごとに補償内容・条件が大きく異なります。契約前に次の項目を必ず確認することが重要です。
| チェック項目 | 概要 |
|---|---|
| 補償割合 | 治療費の何%が保険金として支払われるか(例:50%、70%など) |
| 支払上限 | 1日あたりや年間の支払限度額、通院日数上限など |
| 加入・更新可能年齢 | 高齢になると加入できない場合があるため注意 |
| 待機期間 | 契約後すぐには補償が開始されず、数日〜30日程度待機期間があるケース |
| 精算方法 | 動物病院で自己負担分のみ支払う「窓口精算」か、全額立て替える「後日請求」方式か |
特に、加入・更新可能年齢は保険会社の差が大きいポイントです。シニアになってから加入しようとすると思うように加入できないことがあるため、早めの加入が有利です。
結論
ペットの長寿化が進む中、医療費の負担は今後ますます大きくなる可能性があります。ペット保険は、万が一の病気やケガに備えるだけでなく、安心して長期的にペットと暮らすための大切なリスク管理の一つです。ただし、補償内容や条件は商品ごとに大きく異なるため、加入前に必要な補償と負担額のバランスを十分に検討することが重要です。家計に無理のない範囲で、ペットに必要な医療を提供するための選択肢として、ペット保険を早めに検討してみてはいかがでしょうか。
出典
- 一般社団法人ペットフード協会「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査」
- アニコムグループ「家庭どうぶつ白書 2024」
- 日本FP協会「ペット保険の選び方のポイント」(FPジャーナル トレンドWatch)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

