フラット35の金利はどこまで上がるのか――逆ざや問題と住宅政策のはざまで

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

長期固定金利型住宅ローンであるフラット35の金利に上昇圧力が強まっています。背景には、資金調達コストの上昇と「逆ざや」の拡大があります。

固定金利を選びたい人にとって、フラット35は長年「安心」の象徴でした。しかし、金利環境が大きく変化するなかで、その構造的な課題が表面化しています。

本稿では、フラット35の仕組みと逆ざや問題、今後の金利見通し、そして利用者が考えておくべき視点を整理します。


フラット35の仕組み

フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の長期固定金利型住宅ローンです。

仕組みは次のとおりです。

第一に、銀行などの民間金融機関が住宅ローンを実行します。
第二に、住宅金融支援機構がその債権を買い取ります。
第三に、その債権を裏付けとして住宅ローン担保証券(RMBS)を発行し、市場から資金を調達します。

つまり、フラット35の原資は市場で発行される債券です。このため、市場金利の動向が直接的に影響する構造となっています。


なぜ逆ざやが起きているのか

通常、フラット35の貸出金利は、RMBSの発行金利より0.5%から0.8%程度高く設定されてきました。

しかし現在は、RMBSの発行金利がフラット35の貸出金利を上回る「逆ざや」の状態が続いています。

背景には、日銀の利上げや財政拡張への警戒感に伴う長期国債利回りの上昇があります。RMBSの発行金利は10年物国債利回りに一定のスプレッドを上乗せして決まるため、国債金利の上昇がそのまま調達コストの上昇につながります。

一方で、フラット35の金利は住宅政策的な側面を持つため、急激な引き上げが難しい状況にあります。その結果、逆ざやの幅が拡大しています。


逆ざやはどこまで持続できるのか

住宅金融支援機構は、過去の超低金利期に積み上げた収益を有しています。そのため、短期的に財務が直ちに悪化する状況ではないとされています。

しかし、逆ざやの状態が長期化し、かつ貸出額が増加すれば、収益構造への圧力は無視できなくなります。特に融資限度額の引き上げなどが重なれば、逆ざやの影響は拡大する可能性があります。

赤字の状態が恒常化する仕組みは持続可能ではありません。いずれかの時点で金利水準の見直しが検討されることも想定されます。


3%台への上昇は現実的か

市場実勢を踏まえれば、RMBS金利に従来どおりのスプレッドを上乗せした場合、フラット35の金利は3%前後となる計算です。

民間銀行の35年固定ローンはすでに3%程度の水準にある例が多く、フラット35だけが相対的に低い状態が長期間続くとは考えにくい状況です。

物価高への配慮や住宅政策の観点から急激な引き上げは抑制される可能性がありますが、中期的に3%台が視野に入るとの見方もあります。


金利上昇がもたらす市場への影響

金利上昇局面では、既に低金利で固定した借入者は繰り上げ返済を行うインセンティブが低下します。その結果、RMBSの満期が想定より長期化する可能性があります。

これは債券投資家にとって、金利リスクの増大を意味します。住宅ローンは家計の問題であると同時に、資本市場の商品でもあるという側面を持っています。

国債やRMBSへの売り圧力が続く限り、フラット35の金利にも上昇圧力がかかり続ける構造にあります。


固定金利と変動金利の選択

現在は、変動金利が依然として低水準にある一方で、将来の上昇リスクが意識されています。固定金利はすでに上昇しているものの、将来の金利変動リスクを遮断する効果があります。

重要なのは、金利水準の高低そのものよりも、将来のキャッシュフローに耐えられるかどうかという視点です。

仮に3%の固定金利であっても、家計の収支に十分な余裕があれば安定性を確保できます。一方、わずかな金利上昇で家計が不安定になる場合は、借入規模そのものの見直しが必要です。


住宅取得を考える際の視点

フラット35を検討する場合、次の点を整理しておくことが重要です。

第一に、金利が3%台となった場合でも返済可能か。
第二に、金利上昇局面での不動産価格調整リスクをどう見るか。
第三に、繰り上げ返済や資産形成とのバランスをどう取るか。
第四に、将来の収入見通しや年金・退職金との関係をどう設計するか。

固定金利は、将来の金利変動リスクに対する保険の性格を持ちます。その保険料が上昇局面にあるというのが現在の状況です。


結論

フラット35の金利上昇圧力は、住宅ローン市場だけの問題ではありません。日銀の金融政策、国債市場の動向、財政政策への信認、証券化市場の構造など、複数の要素が絡み合った結果です。

住宅政策として金利を抑制したい思惑と、市場金利上昇との間で、フラット35は難しい立場に置かれています。

今後、金利が3%台に近づく可能性も視野に入れつつ、制度の構造と家計の耐久力の双方を踏まえた判断が求められます。


参考

日本経済新聞 2026年2月14日朝刊
「フラット35、金利上昇圧力 調達コストと『逆ざや』 機構、物価高で上げづらく 収益悪化リスク」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました