金(ゴールド)も銀(シルバー)も上昇が続き、「どちらを買うべきか?」と悩む方が増えています。
そんなときに参考になるのが、「ゴールド・シルバー・レシオ(Gold/Silver Ratio)」です。
これは単純ながら、金と銀の「相対的な割安・割高」を測る投資のバロメーター。
この記事では、その見方と活用法をやさしく解説します。
⚖️ 1. ゴールド・シルバー・レシオとは?
ゴールド・シルバー・レシオ(以下「金銀比価」)とは、
金1オンスの価格 ÷ 銀1オンスの価格 のこと。
たとえば、
- 金が1オンス=2000ドル
- 銀が1オンス=50ドル
なら、
2000 ÷ 50 = 40倍
この「40倍」が金銀比価です。
金が銀の何倍の価値を持っているかを示すこの数字は、
歴史的に“資産の流れ”を読むヒントになります。
📈 2. 歴史的な推移 ― 平均は「60〜80倍」
| 時期 | 金銀比価 | 状況 |
|---|---|---|
| 1980年 | 約16倍 | 銀の大暴騰(ハント兄弟事件) |
| 1990年代 | 約80倍 | 銀が低迷、金が堅調 |
| 2011年 | 約30倍 | 銀の産業需要が急増(太陽光ブーム) |
| 2020年 | 約120倍 | コロナショックで銀急落・金が買われる |
| 2025年現在 | 約38〜40倍 | 銀が金を上回る上昇率(供給不足) |
平均的には 「60〜80倍前後」 が長期的な水準とされます。
この比価が大きく下がっているときは、銀が相対的に強い局面です。
🪙 3. 金銀比価が意味すること
| 比価の水準 | 状況の目安 | 投資の考え方 |
|---|---|---|
| 100倍以上 | 銀が極端に割安 | 銀にチャンスがある可能性 |
| 60〜80倍 | 平常時(中立) | 金・銀のバランス投資 |
| 40倍以下 | 銀が割高(上昇しすぎ) | 金の比率を増やす・銀を一部利確 |
つまり、
「金銀比価が下がる=銀の勢いが強い」
「比価が上がる=金が安全資産として買われている」
という見方ができます。
🌍 4. なぜ比価が動くのか?
金と銀はどちらも“実物資産”ですが、動く理由は違います。
| 要因 | 金 | 銀 |
|---|---|---|
| 景気 | 悪化時に買われやすい(安全資産) | 好況時に需要増(産業金属) |
| インフレ | 買われる | 買われる(ただし変動大) |
| 政策金利 | 低下で上昇 | 同様だが反応が速い |
| 需給 | 鉱山生産・ETF需要 | 太陽光・電気自動車など実需で変動 |
したがって、
景気後退期には「金高・銀安」→比価上昇、
景気回復期には「銀高・金安」→比価低下、
という傾向があります。
🔍 5. 比価の活用法 ― 買い時・売り時を見極める
① 銀を買うタイミング
- 比価が80〜100倍付近(銀が売られすぎている時)
- 景気回復や再エネ需要のニュースが増えた時
→ 将来的に「銀の巻き返し」を期待できる局面
② 金を買うタイミング
- 比価が40倍以下(銀が上がりすぎた時)
- 世界的なリスクやドル不安が高まった時
→ 「安全資産」として金に資金が戻る傾向
💡 比価の変化は“投資家心理の鏡”。
金が買われる=不安心理、
銀が買われる=期待心理、
と読むことができます。
📊 6. 実際のNISAポートフォリオ例(2025年版)
| タイプ | 金ETF | 銀ETF | コメント |
|---|---|---|---|
| 安定重視型 | 80%(1540) | 20%(1542) | 円安・インフレ対策重視 |
| バランス型 | 60%(1540) | 40%(1673) | 比価が下がり気味の時期におすすめ |
| 成長型 | 40%(1540) | 60%(1542) | 銀の上昇トレンドを狙う |
ETFの構成を比価の動きに応じて見直すことで、
「リバランス(資産の入れ替え)」の判断にも使えます。
🧭 7. 比価をチェックするには?
金銀比価は、ネットで「Gold Silver Ratio」と検索すれば、
リアルタイムで確認できます。
代表的なサイト:
- TradingView
- Kitco Metals
- Investing.com
また、日本語では「金銀比価チャート」などでも閲覧可能です。
🌈 8. まとめ:「金と銀のバランスが市場心理を映す」
- 金銀比価=金の価格 ÷ 銀の価格
- 平均値は60〜80倍前後
- 比価が高い時=銀が割安、低い時=金が割安
- 景気や政策、実需の変化を読む“資産の体温計”
📖 一言まとめ
金は「恐怖」で動き、銀は「希望」で動く。
比価は、そのふたつの心理バランスを映す鏡。
🪙 参考資料:
出典:シルバー・インスティチュート “World Silver Survey 2024”
ロンドン貴金属市場協会(LBMA)データ
日本経済新聞「銀最高値、群がる投機資金」(2025年10月17日 朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
