<記載日:2025年9月2日>
前回、ガソリン税とそれに係る消費税は、国と地方にとって重要な税収源です、と書かせていただきました。
そうですよね…
日本のガソリン税(揮発油税+地方揮発油税+地球温暖化対策税)は、年間で約3~4兆円規模の税収をもたらしています。
この税収は国と地方の財源として、道路整備だけでなく一般財源にも使われています。
しかし、EV(電気自動車)普及の加速により、ガソリンの販売量は今後確実に減少します。
つまり、税収の自然減が避けられない状況に入ってきています。
ということで、今回は「ガソリン税と EV時代…税収減にどう備えるか」というテーマで書かせていただきます。
1. EV普及が進む背景
・脱炭素政策:政府は 2035年までに新車販売の 100%を電動車(EV・HV・FCV)にする目標を掲げています。
・技術革新:航続距離の伸び、充電インフラの整備
・コスト低下:補助金や量産効果によるEV 価格の低下
この流れは世界的な潮流で、日本も例外ではありません。
2. ガソリン税減収がもたらす影響
①国家財政への影響
・年間数兆円の税収が徐々に消失
・他税目での穴埋めが必要
・財政健全化の遅れに直結
②地方財政への影響
・地方揮発油税や道路関連予算の減少
・地方インフラ整備の財源不足
③ 家計・生活への影響
・間接的に他の税負担増や公共料金値上げの可能性
・EV 購入後も新たな形の道路負担金が発生する可能性
3.政府が検討している代替案
①走行距離課税(マイレージ課税)
・車載 GPSや定期検査で走行距離を把握し、km単位で課税
・車種・重量によって課税率を変える案も…
②重量課税の強化
・現行の自動車重量税を拡充
・EV は電池重量が重く、道路損傷負担が大きいとされるため、重量基準課税は現実味あり
③電力課税
・EV充電に使う電力量に課税
・家庭充電の場合の把握方法が課題
4. 家計はどう備えるべきか
・EV 購入時の総コストを見積もる
車両価格、充電設備、保険、自動車税・重量税の将来改正見込みも含めて試算する
・将来の道路利用課金を想定
ガソリン代がゼロになっても、走行距離課税などで「維持費ゼロ」にはならない可能性
・ライフスタイルと車利用を見直す
カーシェア・レンタカー活用で所有期間や台数を減らす
・補助金制度は早めに活用
EV 補助金や減税は段階的縮小が見込まれるため、利用できる時期を逃さない
5.まとめ
ガソリン税は長年、日本の財政と道路インフラを支えてきました。
しかし、EV普及により税収減が避けられない今、「誰が、どのように道路の維持コストを負担するか」という根本的な議論が必要です。
家計としては、「ガソリン代がかからない=維持費が安くなる」と短絡的に考えるのではなく、将来の課税ルールも視野に入れた資金計画を立てることが大切です。
ということで、今回はこれくらいにさせていただき、次回は「走行距離課税は本当に公平か?」をテーマに、課税方法の公平性・効率性・プライバシー問題について考えてみたいと思います。
次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。