ガソリン税「旧暫定税率」ついに廃止へ?――減税と財源、そして家計への影響を考える

政策
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◆ ガソリン税が安くなる日は近い?

自民党が、長年続いてきた「ガソリン税の旧暫定税率」廃止に向けた論点整理案をまとめました。
実現すれば、1リットルあたり約25円の税負担が軽くなり、レギュラーガソリン価格が年内にも実質的に下がる見通しです。

この動きは、家計にとって直接的に影響する「減税」の一つ。
しかし、同時に“財源の穴”をどう埋めるかという大きな課題も残されています。


◆ 旧暫定税率とは何か?

「旧暫定税率」とは、1970年代のオイルショックをきっかけに導入された一時的な“上乗せ税率”です。
しかし、景気対策や道路整備のための財源確保を理由に、50年近く“暫定”のまま維持されてきました。

税の種類上乗せ分(旧暫定税率)備考
ガソリン税25.1円/L本則税率に加算
軽油引取税17.1円/L同上

この旧暫定税率を廃止すれば、国と地方で年間約1.5兆円の税収減になる見通しです。


◆ 財源の穴をどう埋めるか ―「租特」「金融所得課税」「車体課税」も俎上に

自民党がまとめた論点整理案では、以下のような具体的な財源候補が挙げられています。

  • 法人税の租税特別措置(租特)の改廃
     → 特定の業種・行為を優遇する税制の見直しで、税収を確保。
  • 金融所得課税の強化
     → 「1億円の壁」と呼ばれる高所得層の税負担率低下を是正。
  • 自動車関係諸税の見直し
     → 自動車の購入・保有にかかる「車体課税」などの再検討。
  • 外国人旅行者や非居住者への課税強化
     → 免税制度や不動産取得時課税の見直しも視野に。

このほか、政府内では「税外収入」「剰余金」「歳出削減」などを組み合わせる案も出ています。


◆ 政府・与野党の思惑

  • 自民党:2026年2月に減税実施を提案
  • 立憲民主党:2025年末までに実施を主張
  • 維新・公明:補助金を増額し、実質的な減税を年内に体感できるよう調整中

小野寺五典・自民税調会長は「11月上旬に合意できれば、実質的に年内に値下げを実感できる」と述べています。
軽油についても、2026年4月1日に旧暫定税率を廃止する方針が盛り込まれました。

高市早苗首相は秋にまとめる経済対策で、これらの減税措置を正式に位置づけ、臨時国会で法案成立を目指す構えです。


◆ 家計への影響は?

ガソリン価格が1Lあたり25円下がるとすると、
・月100L給油する家庭では、月2,500円の支出減
・年間では3万円前後の節約効果になります。

また、運送・物流コストの低下は、物価全体の押し下げ要因にもなり得ます。
ただし、減税が恒久化されれば、その分社会保障や教育などの財源をどうするかという問題が再び浮上します。


◆ 「ガソリン減税」は単なる家計支援ではない

今回の議論は、単なる“値下げ”ではなく、

  • 租税特別措置をどう整理するか(企業優遇の見直し)
  • 金融所得課税をどう公平にするか(富裕層への課税強化)
  • 自動車課税や環境税制をどう再構築するか
    といった税制全体の構造転換に踏み込むきっかけとなる可能性があります。

一方で、税収減を理由に他の増税が検討されるリスクもあり、
「減税と再分配」をどう両立するかが今後の焦点です。


◆ まとめ

  • ガソリン税・軽油税の旧暫定税率廃止が現実味を帯びてきた。
  • 年内にも価格低下を実感できる可能性がある。
  • 一方で、財源確保をめぐる新たな税制議論が始まる。
  • 家計への恩恵と、将来の増税リスクを両面で注視する必要がある。

出典:2025年10月23日 日本経済新聞「自民、ガソリン減税財源案」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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