【第5回】青色申告65万円控除とe-Tax要件を改めて整理する

税理士
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個人事業を行っている方にとって、「青色申告65万円控除」は非常に魅力的な制度です。
一方で、実際の確定申告では、本来65万円控除を受けられると思っていたのに、結果として55万円控除や10万円控除になってしまったというケースも少なくありません。

その原因の多くは、帳簿の付け方ではなく、申告方法や提出期限に関する誤解です。
この記事では、青色申告65万円控除の要件を、令和7年分確定申告の実務目線で整理します。


青色申告特別控除の基本構造

青色申告特別控除には、次の3つの控除額があります。

  • 65万円
  • 55万円
  • 10万円

このうち、65万円控除は「自動的に適用されるもの」ではありません。
一定の条件を満たした場合にのみ適用される、最上位の控除です。


65万円控除に共通して必要な前提

まず大前提として、次の条件を満たしている必要があります。

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 正規の簿記の原則に従った帳簿を作成していること
  • 貸借対照表・損益計算書を作成していること

これらを満たしていない場合、65万円控除は適用されません。


65万円控除を受けるための2つのルート

令和7年分の確定申告で、65万円控除を受けるためには、次のいずれかを満たす必要があります。

1つ目は、
e-Taxで確定申告書と青色申告決算書を期限内に提出することです。

2つ目は、
優良な電子帳簿の要件を満たして帳簿を保存し、所定の届出を行った上で申告することです。

実務上、多くの個人事業者が選択しているのは、1つ目の「e-Taxによる申告」です。


「帳簿は電子」だけでは足りない

よくある誤解の一つが、
「会計ソフトで帳簿を作っているから65万円控除が取れる」という考え方です。

会計ソフトを使っていても、

  • e-Taxで申告していない
  • 申告期限を過ぎている

この場合、65万円控除は適用されません。

帳簿の作成方法と、申告の方法は、別の条件として考える必要があります。


提出期限を1日でも過ぎるとどうなるか

青色申告65万円控除は、期限内申告が絶対条件です。

令和7年分の確定申告では、

  • 申告期限:令和8年3月16日

この期限を1日でも過ぎると、

  • 65万円控除 → 適用不可
  • 55万円控除 → 適用不可

となり、原則として10万円控除のみが適用されます。

「税金は納めているから問題ない」という話では済まない点は、特に注意が必要です。


会社員の副業でも条件は同じ

会社員が副業として事業所得を得ている場合でも、青色申告65万円控除の条件は同じです。

  • 副業だから控除が小さくなる
  • 会社員だから条件が緩くなる

といった扱いはありません。

事業所得として申告する以上、本業・副業の区別なく同じルールが適用されます。


年金世代の個人事業でも要注意

年金を受給しながら事業を行っている方の場合、
「年金があるから青色申告は簡易でよい」と考えてしまうことがあります。

しかし、青色申告特別控除は、
年金の有無に関係なく、事業の申告方法だけで判断されます。

年金と事業所得を併せて申告する場合でも、
65万円控除を狙うのであれば、e-Taxによる期限内申告が前提になります。


実務上のおすすめは「e-Taxでの申告」

65万円控除を安定して受けるためには、

  • 帳簿作成は会計ソフト
  • 申告はe-Tax

この組み合わせが、最も現実的です。

電子帳簿保存の要件を満たす方法もありますが、
実務負担を考えると、申告方法で要件を満たす方が分かりやすいケースが多いといえます。


青色申告65万円控除は「申告姿勢」を問う制度

青色申告65万円控除は、単なる節税特典ではありません。
「適正な帳簿を作成し、期限内に電子申告を行う」という、事業者としての基本姿勢を前提とした制度です。

条件を正しく理解していれば、防げる失敗は多くあります。

次回は、令和7年度税制改正が確定申告に与える影響を、会社員・年金世代目線で整理します。


参考

  • 国税庁「令和7年分所得税及び復興特別所得税の確定申告のポイント」
  • 国税庁 青色申告特別控除 関連資料

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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