確定申告で還付を受けるきっかけとして、特に多いのが「医療費控除」と「ふるさと納税」です。
一方で、この2つは毎年のように申告ミスや控除漏れが発生している分野でもあります。
制度そのものは難しくなくても、
- 書類の扱い
- 申告方法の選択
- 他の制度との関係
を正しく理解していないと、「本来戻ってくるはずの税金を逃してしまう」ことになりかねません。
この記事では、実際によくあるつまずきポイントを中心に整理します。
医療費控除は「領収書を出せばよい」ではない
医療費控除を受ける際、以前は領収書を確定申告書に添付する必要がありました。
しかし現在は、領収書の提出は不要となっています。
その代わりに必要なのが、
- 医療費控除の明細書
です。
この明細書には、医療を受けた人、医療機関名、支払った医療費の額などを記載します。
領収書は提出しませんが、5年間の保存義務があります。
「提出しない=捨ててよい」ではない点は、誤解されやすいところです。
医療費通知を使えば手間は減る
健康保険組合などから交付される「医療費通知」を利用すれば、明細書の記載を省略できます。
さらに、医療費通知を使った場合は、領収書の保存も不要になります。
マイナポータル連携を利用している場合は、
- 医療費通知情報を自動取得
- 明細を自動入力
という形で申告を進めることも可能です。
ただし、すべての医療費が医療費通知に反映されるわけではないため、
実際に支払った金額と大きな差がないかの確認は欠かせません。
高額療養費などの「差し引き忘れ」に注意
医療費控除で特に多いミスが、
高額療養費や保険金などの補填分を差し引いていないケースです。
医療費控除の対象となるのは、
「実際に自己負担した医療費」です。
あとから支給される高額療養費や、民間保険の給付金がある場合には、
その金額を医療費から差し引いて計算する必要があります。
ここは自動入力では処理されないことが多く、注意が必要です。
ふるさと納税ワンストップ特例の落とし穴
ふるさと納税を行う会社員の多くは、「ワンストップ特例制度」を利用しています。
この制度は、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる便利な仕組みです。
しかし、
- 医療費控除を受ける
- 住宅ローン控除の初年度
- 年末調整を受けていない
といった理由で確定申告を行う場合、
ワンストップ特例は「なかったもの」として扱われます。
その結果、
確定申告書にふるさと納税の金額を記載しないと、控除が一切反映されません。
この見落としは、非常に多いミスの一つです。
寄附金控除の証明書の扱い
ふるさと納税で寄附金控除を受けるためには、
- 寄附金の受領書
または - 年間寄附額をまとめた証明書
が必要です。
e-Taxで入力内容を送信する場合には、添付を省略できるケースもありますが、
証明書そのものは必ず手元で確認しておく必要があります。
マイナポータル連携や証明書の一括発行を使っていても、
「寄附したつもり」のものが漏れていないかは、自分で確認するしかありません。
医療費控除とふるさと納税は「一緒に確認」
医療費控除とふるさと納税は、
- どちらも還付につながりやすい
- どちらも確認事項が多い
という共通点があります。
そのため、確定申告では、
「医療費だけ確認して安心」
「ふるさと納税は自動で入っているはず」
と分けて考えるのではなく、必ずセットで最終確認することが大切です。
制度を知っていれば防げるミスが多い
医療費控除やふるさと納税での申告ミスは、計算が難しいから起きるわけではありません。
制度の前提を知らないまま申告してしまうことが原因です。
少し立ち止まって仕組みを理解するだけで、防げるミスは多くあります。
次回は、青色申告65万円控除とe-Tax要件について整理します。
会社員の副業や、年金世代の個人事業にも関係するテーマです。
参考
- 国税庁「令和7年分所得税及び復興特別所得税の確定申告のポイント」
- 国税庁 医療費控除・寄附金控除 関連資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
