―副業収入の扱いで税額が変わる―
副業を始めるときに最初に直面するのが、「この収入は事業所得になるのか? それとも雑所得なのか?」という問題です。実は、この区分によって課税額が大きく変わり、税務調査でも必ずチェックされる重要ポイントです。
国税庁は副業を「小遣い稼ぎ」と片付けるのではなく、継続性や営利性があるかを厳しく見ています。
事業所得とは
- ある程度の規模や継続性をもって行う活動から得た所得
- 営利目的が明確で、反復的に収入を得る仕組みがある
- 経費を幅広く計上できる(青色申告の特典も受けられる)
具体例
- 定期的にライティングやデザインの仕事を請け負っている
- ハンドメイド作品を継続して販売している
- 投資用不動産を運営し、毎月家賃収入がある
雑所得とは
- 本業のかたわらで得た臨時的な収入
- 事業と呼べるほどの規模や継続性がない
- 必要経費の範囲は限定的で、赤字を他の所得と通算できない
具体例
- 単発で講演を引き受けた謝礼
- フリマアプリで不要品を売った収入
- 趣味で撮った写真を偶然買ってもらった
税務調査で問題になるケース
- 本人は「事業」と思っていても、当局は「雑所得」と判断
→ 経費が大幅に否認され、追徴課税につながることがある。 - 雑所得として処理していたが、実態は「事業」だった
→ 青色申告ができず、過去にさかのぼって修正申告を求められるケースも。
判断の基準となるポイント
国税庁が見るのは「事業性の有無」です。例えば:
- 取引の反復継続性
- 利益追求の意思(収益を上げる工夫をしているか)
- 業務に投下している時間や労力の程度
- 専用の設備・仕組みを持っているか
こうした要素が揃っていれば「事業所得」と認められやすくなります。
まとめ
副業収入の「事業所得か雑所得か」は、税金の計算だけでなく、税務調査で最も焦点になる部分です。事業として認められれば青色申告の特典も受けられますが、雑所得扱いになれば経費が限られ、税負担が増える可能性があります。
次回は「第3回:副業で認められる経費とグレーゾーン」をテーマに、副業者が悩みやすい経費の考え方を整理していきます。
👉 本シリーズは、月刊『所長のミカタ』(2025年9月号)の記事を参考にしています。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
