【住まい】60代で直面する「親の家」問題。実家じまいという現実的な選択

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親が90代まで長生きすることが珍しくなくなった今、相続を迎える子ども世代はすでに60代というケースが増えています。
多くの人はすでに自分の住まいを持ち、子どもも独立し、老後を意識し始める年代です。そんな中で突然、築年数の古い実家を相続する――これが、いま多くの家庭で起きている現実です。

そのとき必ず直面するのが、「この実家をどうするのか」という問題です。
近年、この答えとして選ばれることが増えているのが「実家じまい」、つまり売却という選択です。

なぜ「実家じまい」を選ぶ人が増えているのか

60代で実家とは別の場所に生活基盤がある場合、「実家に戻って住む」という選択は簡単ではありません。
築年数の古い家を安全に暮らせる状態にするには、多額のリフォーム費用がかかります。耐震補強や水回りの改修まで含めると、想像以上の出費になることもあります。

では、賃貸に出すという方法はどうでしょうか。
立地が良ければ可能性はありますが、地方や郊外では借り手を見つけるのが難しく、空き家のまま管理費や固定資産税だけがかかるケースも少なくありません。
管理の手間や将来の修繕費を考えると、「負担の方が大きい」と感じる人が多いのが実情です。

こうした理由から、兄弟姉妹や親族の間で「誰も住まない」「管理もできない」という結論に至り、実家じまいを選ぶ家庭が増えています。

実家の価値によって異なる悩み

実家の問題は、その資産価値によって悩みの中身が大きく変わります。

売れにくい実家の場合

地方の住宅や、田畑を含む実家を相続した場合、「売りたくても売れない」という問題に直面することがあります。
買い手がつかず、空き家のまま年月が過ぎてしまうと、管理の負担だけが重くなります。

このような場合は、早めに現実的な選択肢を整理することが重要です。放置すればするほど、建物は老朽化し、選択肢は狭まっていきます。

資産価値が高い実家の場合

一方で、都市部など資産価値の高い実家を相続する場合も、別の意味で悩みが深くなります。
兄弟姉妹で遺産分割を行う際、不動産の評価額を巡って意見が分かれやすいのです。

実家を取得する人が、ほかの兄弟に多額の代償金を支払わなければならないケースもあります。60代でその負担を背負い、さらに固定資産税を払い続けるのは、現実的に厳しいと感じる人も多いでしょう。
共有名義で相続する方法もありますが、将来、次の世代でさらに話が複雑になることが多く、結果的に売却せざるを得なくなるケースも少なくありません。

親が元気なうちに話しておきたいこと

相続で慌てないために最も大切なのは、親が元気なうちに家族で話し合っておくことです。
とはいえ、お金や財産の話は切り出しにくく、つい先延ばしになりがちです。

まずは、親が実家を将来どうしたいと考えているのか、子ども側がどのような選択肢を想定しているのかを、少しずつ共有することが第一歩です。
お盆や正月など、家族が集まるタイミングを利用するのも一つの方法でしょう。

実家の「状態」を把握しておく重要性

実家じまいを考えるうえでは、感情面だけでなく、家の状態を正確に把握しておくことも欠かせません。
特に注意したいのが土地の境界です。古い住宅地では境界が曖昧なままになっていることも多く、売却時に隣地とのトラブルに発展するケースがあります。

また、実家が私道に面している場合や、建て替えができない物件に該当しないか、名義が古いままになっていないかなど、確認すべき点は少なくありません。
こうした問題は、時間が経つほど解決が難しくなります。

結論

実家じまいは、「親の家を手放す」という行為以上に、家族のこれからを考える重要な判断です。
誰かが我慢して抱え込むのではなく、現実的な選択肢を整理し、家族全員が納得できる形を探すことが大切です。

親が元気なうちから少しずつ話し合い、実家の状況を確認しておくことで、相続後の負担や後悔を減らすことができます。
実家の問題は、突然やってきます。だからこそ、早めの準備が、家族の安心につながるのではないでしょうか。

参考

・日本FP協会 会員向けコラム
 「60代で直面する『親の家』問題。実家じまいの選択肢とは」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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