日本の株式市場は、企業の成長力・ガバナンス改善・インフレ定着などを背景に、これまでと異なる局面に入りつつあります。
そこに本格参入するのが、SBIとアライアンス・バーンスタインによる“アクティブETF”です。
本記事では、アクティブETFが日本株市場にもたらす可能性と、今後の「日本株テーマ投資」の未来を整理します。
1. 日本株市場の構造はすでに変化しつつある
かつて日本株市場は
- 低成長
- デフレ
- 企業のROEが低い
- 投資家に人気がない
という状態でしたが、現在は次のように変わりつつあります。
- 企業の自社株買いが過去最高
- 配当性向が上昇
- 賃上げと物価上昇による売上拡大
- 半導体・AI関連企業の成長
- コーポレートガバナンス改革が進展
テーマ型ETFとの相性が良い土壌が整ってきています。
2. 日本株アクティブETFの登場で何が変わるか?
● ① インデックス偏重の投資家に“テーマ投資”が広がる
日本株で人気のある投信は、依然としてインデックスが中心です。
しかし、アクティブETFが登場することで、
- AI関連
- 半導体
- 通信
- メディア
- 医療・ヘルスケア
など、テーマ株へのアクセスが飛躍的に向上します。
● ② 企業の成長力に応じた資金流入が進む
ETFを通じて資金が流れやすくなることで、
- 成長企業に資金が回る
- 株価が成長力を反映しやすくなる
- 市場全体の活性化につながる
という循環が起きる可能性があります。
● ③ 地銀・証券を巻き込んだ販売が拡大
SBI新生銀行・地方銀行が取り扱いを開始すれば、
- 地域の投資家
- シニア層
- 初心者層
にもアクティブETFが届きやすくなり、日本株テーマがより広がります。
● ④ 海外投資家の注目が高まる
アクティブETFは透明性が高いため、海外機関投資家も利用しやすくなります。
- 半導体・電子部品
- 脱炭素・水素技術
- 医療・創薬
- 物流DX
こうした分野が国際的な投資資金を呼び込む可能性もあります。
3. 日本株テーマ投資の“有望テーマ”とは?
■ ① 半導体・電子部品
TSMC効果や日本の製造力の強さに裏付けられた拡大テーマ。
■ ② AI活用企業
生成AI・自動運転・産業AIなど広範囲で成長期待。
■ ③ 医療・ヘルスケア
日本は医療関連企業が強く、世界的な高齢化と相性が良い。
■ ④ 通信・ネットワークインフラ
5G/6G需要の拡大。
■ ⑤ GX(グリーン・トランスフォーメーション)
脱炭素、水素、再エネなど政策後押しが強い分野。
アクティブETFは、これらのテーマに“プロによる銘柄選択”を組み合わせることで、個別株よりリスクを抑えながら成長を取りにいけます。
4. 日本株アクティブETFが普及する条件
条件①:商品ラインナップの充実
複数テーマが揃うことで選びやすくなる。
条件②:コストの適正化
信託報酬が引き下げられると普及しやすい。
条件③:販売チャネルの拡大
SBI証券+地銀が鍵。
条件④:投資家の「理解」の浸透
ETFが投信に比べて扱いやすいことが浸透すれば、一気に普及する可能性あり。
5. 日本株市場全体へのインパクト
- 成長企業への資金流入が増える
- 企業のガバナンス改善が進む
- 市場の透明性が向上する
- 個人投資家の選択肢が広がる
- 海外資金がテーマ株に入りやすくなる
ETF経由での投資人口拡大は、日本株市場の「質」を押し上げる大きな要因となります。
結論
アクティブETFの登場により、日本株市場はこれまでよりも“テーマ投資”がしやすい環境へと進化します。
SBIの参入は日本株テーマに対する注目を高め、資金の流れを変える可能性があります。
今後数年は、日本株アクティブETFの“黎明期”であり、長期投資家にとっては大きなチャンスとなり得ます。
自分の投資目的に合ったテーマを見極めながら、長期視点で活用していくことが鍵となります。
出典
・日本経済新聞「SBIがアクティブETF参入」
・東証ETF資料
・日本株市場の企業行動データ(自社株買い・配当性向など)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
