SBIホールディングスは、米アライアンス・バーンスタインと共同でアクティブETF専業の運用会社を設立します。
これにより、日本の投資環境は大きく変わる可能性があります。
今回は、SBIが金融業界にもたらす「構造変化」と、今後の投資家への影響を整理します。
1. SBIは“投信中心”の日本市場の構造を変えたい
日本の個人資産運用は、投信(投資信託)への依存度が非常に高い市場です。
- 投信販売=銀行・証券の主力ビジネス
- リスクは投信で取るのが一般的
- ETFは売買手法が株式に似ており、まだ一般的ではない
この状況に対して、SBIは「ETFを次の成長軸」に据えています。
2. ネット証券最大級の“販売力”をETFに展開
SBI証券は 約1500万口座 を抱える国内最大級の証券会社です。
- ETF販売を強化
- 地銀やSBI新生銀行にも販路を展開
- さらに海外機関投資家・ファミリーオフィスも対象にする
ETFが一気に普及する土台が整っています。
3. 投信との違いがETF人気を後押し
ETFは投信に比べ、次の特徴があります。
- 株式のように売買しやすい
- 運用内容が透明
- コスト構造がシンプル
- 売買タイミングを自由に選べる
SBIは、これらの利点を利用して「ETFを一般層にも浸透させる」戦略を取るとみられます。
4. 新会社のアクティブETFは“テーマ型の本命”
SBIとアライアンスのアクティブETFは、以下のテーマが中心です。
- 先端技術
- ヘルスケア
- 高配当株
- エネルギー
日本の投信市場ではテーマ型が人気なため、ETFでも同様の需要が期待できます。
5. 金融業界への構造変化(インパクト)
SBIの参入により、次のような変化が起きる可能性があります。
① ETFが国内投信に本格対抗へ
特にテーマ型・高配当型ETFは、投信の代替となる可能性が高いです。
② 信託報酬の引き下げ競争
運用会社同士の競争が激化し、アクティブETFのコストが低下する可能性があります。
③ 地銀・証券の販売が変わる
投信偏重から、ETFを組み込んだポートフォリオ提案が広がる可能性があります。
④ 市場の透明性が向上
ETFの公開情報の多さは、運用業界全体の透明性を押し上げます。
6. 個人投資家へのメリット
- テーマ投資を低コストで行える
- 透明性の高いアクティブ運用を使える
- 長期投資と相性が良くなる
- 銀行や証券の「おすすめ」に依存しない選択が増える
とくに若年層の投資家に大きなメリットが生まれると考えられます。
7. SBIの戦略は“長期の市場育成”につながる
SBIは短期的な販売ではなく、次のステップを見据えています。
- ETF市場の育成
- 運用ビジネスのグローバル展開
- 日本投資家の資産形成の長期化
- インデックス一強の市場に選択肢を増やす
市場全体にとってプラスの構造変化となる可能性があります。
終わりに(結論)
SBIがアクティブETF市場に本格参入することは、日本の投資環境に大きな変化をもたらす可能性があります。
投信偏重の日本市場に新たな選択肢を提供し、テーマ投資の透明性・利便性を押し上げる動きは、投資家にとってメリットが大きいものです。
これから数年は、新しいETFが次々登場する“転換期”にあたります。
投資家は、自分の投資目的に合った商品を選びつつ、ETFの拡大がもたらす恩恵を活用していくことが重要です。
出典
・日本経済新聞「SBIがアクティブETF参入」
・SBIホールディングス 決算説明資料
・国内外 ETF市場資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
