来春にも撤廃される「106万円の壁」。しかし、これで安心というわけではありません。
次に注目されるのが 「20時間の壁」 と 「扶養控除」制度の見直し です。
- 週20時間以上働くと社会保険加入が義務化
- 扶養控除の適用範囲も見直し議論が進行中
この2つは、今後の働き方や家計戦略に直結する大きなテーマです。
「20時間の壁」とは?
現行制度では、パートやアルバイトが社会保険に加入する条件のひとつに
「週20時間以上勤務」 があります。
つまり、
- 週19時間以内 → 社会保険に入らず、扶養のまま
- 週20時間以上 → 厚生年金や健康保険に加入
という明確な線引きが存在します。
「106万円の壁」がなくなれば、“次は20時間以内に働こう”という調整が増える可能性があります。
扶養控除の見直しが議論される背景
さらに影響が大きいのが「扶養控除」です。
現在は配偶者や扶養家族の所得が一定額以下であれば、所得税・住民税の控除を受けられます。
- 配偶者控除:年収103万円以下
- 配偶者特別控除:最大201万円まで段階的に控除
ただし、少子高齢化や女性就労の拡大を背景に、
**「扶養控除は働き方の制約になっている」**との指摘があり、見直しが検討されています。
家計にとっての影響
「20時間の壁」と「扶養控除の見直し」は、次のように家計へ影響します。
メリット
- 厚生年金に加入すれば将来の年金額が増える
- 健康保険の給付(傷病手当金・出産手当金など)が受けられる
デメリット
- 保険料負担で手取りが減少する
- 扶養控除が縮小されると、世帯単位で税負担が増える可能性
短期的には「負担増」、長期的には「保障拡大」という構図です。
働き方はどう変わる?
- 「週19時間以内」に抑えて扶養内を維持するか
- 「週20時間以上」で社会保険加入し、長期的な年金・保障を重視するか
- 扶養控除の縮小・廃止が進めば、「働き控え」に意味がなくなる可能性も
いずれにせよ、“壁を避ける”のではなく、“ライフプランに合わせて選ぶ” ことが重要になります。
6. まとめと展望
「106万円の壁」撤廃は、働き方改革の第一歩にすぎません。
今後は「20時間の壁」や「扶養控除の見直し」によって、さらに就労環境が変化していきます。
- 短期的な手取りを優先するか
- 長期的な年金や保障を重視するか
- 家計単位での最適化をどう図るか
これからの時代、働き方の選択肢は広がります。
大切なのは「自分や家族にとって何が最も安心につながるのか」を考えること。
👉 次回は、これらの制度改正が 「企業にとっての雇用戦略」 にどう影響するのかを取り上げたいと思います。
(参考 2025年9月6日付日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
