先日の参院選。
芝公園で行われた参政党の「マイク納め」に2万人もの人が集まったそうです。
芝生の上に人がぎっしり座り込み、まるで野外コンサートのような熱気。
弁士が「税金はゴミ箱に捨てられている」と叫ぶと、聴衆が3本指のピースサインで応える光景は、既存政治への不信感の大きさを映し出していました。
実際、私の周りでも「まじめに税金を払ってきたけれど、いいことがありましたか?」という声を耳にします。
年金、医療、介護、子育て支援…。
必要なものがきちんと回ってこないと感じてしまえば、税金そのものへの信頼が揺らぐのも当然でしょう。
「税金はゴミ箱に」論が広がる背景
「国債を発行すれば政府はいくらでも事業ができる。税金は要らない」
こうした言説は一見、納税者の不満を代弁してくれるように響きます。
しかし、現実はそう単純ではありません。国の財源を支える税金は、医療や介護、年金制度といった社会保障を成り立たせる基盤です。
国債を増やし続ければ、将来世代へのツケ回しとなり、結局は自分たちや子ども世代を苦しめることになります。
短期的な「減税」や「給付」への期待は理解できますが、現実逃避の議論にとどまれば、私たちが直面するもっと大きな課題への対応が遅れてしまいます。
迫りくる「2040年問題」という時限爆弾
日本の人口構造を見れば、2040年は確実に大きな転換点になります。
団塊ジュニア世代(現在50代前半)が65歳を超え、「3人に1人」が高齢者となる時代です。
- 生産年齢人口(15~64歳)は今より2割減
- 医療・介護分野では100万人規模の人手不足
- 過疎化で市町村そのものが維持できない地域も出る
つまり、社会の土台そのものが揺らぎかねないのです。
ある官僚は「時限爆弾」と呼んでいましたが、まさにその表現が適切でしょう。
必要なのは「中期的なビジョン」
選挙のたびに「減税合戦」や「給付合戦」が繰り広げられますが、私たちが本当に求めているのは 近未来をどう乗り越えるかのビジョン です。
法政大の小黒教授が提言しているように、地域ごとに医療・介護・インフラを持続可能な形に再編する「地方版骨太の方針」が急務でしょう。
東京と地方では課題が違いますし、同じ高齢化でも都市部と農村部では必要な対策は異なります。
与党だけでなく野党も巻き込んだ中期的な議論が不可欠です。
「税金を払えば未来が拓ける」と思える社会に
結局のところ、私たちが納得して税金を支払えるかどうかは、政治がどんな未来像を示すかにかかっています。
「払った税金で少子高齢化を乗り越えられる」
「次の世代に負担を先送りしない」
こうした確信が持てれば、「税金はゴミ箱に」などという声は自然と小さくなるはずです。
今、必要なのは「目先の不満」をなだめる政治ではなく、「15年後の国難」を見据えた責任ある政治です。次の選挙で私たちが問うべきは、そこに尽きるのではないでしょうか。
✅ まとめ
- 「税金はゴミ箱に」という言説は不満を代弁するが現実逃避にすぎない
- 2040年問題は確実に訪れる社会の転換点
- 必要なのは減税合戦ではなく中期的な政策ビジョン
- 「税金を払えば未来が拓ける」と実感できる社会づくりこそ政治の責任
👉 あなたは「税金を払ってきて良かった」と感じる瞬間はありますか?
それとも、まだ「ゴミ箱に捨てられている」と感じますか?
ということで、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。
