会議費は、交際費に比べると税務上問題になりにくい、と考えられがちです。
しかし実際の税務調査では、「会議費として処理しているが、説明がつかない」という理由で指摘を受けるケースが少なくありません。
特に、交際費の1万円基準が導入されて以降、
- 金額は小さい
- 形式的には会議費に見える
といった支出について、実態の確認がより丁寧に行われる傾向があります。
本稿では、税務調査で説明に詰まりやすい会議費処理の典型例を整理します。
会議費は「自動的に認められる経費」ではない
前提として押さえておきたいのは、会議費は「名前を書けば通る経費」ではないという点です。
税務調査では、
- なぜ会議費なのか
- なぜ業務上必要なのか
が説明できるかどうかが問われます。
この説明が曖昧になると、金額の大小にかかわらず、交際費または私的支出として否認される可能性があります。
説明に詰まりやすい典型パターン①
「打合せをしたことは確かだが、内容を説明できない」
最も多いのがこのケースです。
- 取引先と食事をしながら話をした
- 打合せを兼ねていた記憶はある
しかし、
- 何について
- どのような目的で
- どんな結論や方向性があったのか
を聞かれると、具体的に答えられない。
この場合、税務調査では「実態として会議といえるか」が疑問視されます。
会議費として処理する以上、業務上の議題が存在していたことが最低限説明できなければなりません。
説明に詰まりやすい典型パターン②
「参加者の業務関係が不明確」
会議費として処理しているにもかかわらず、
- 参加者が誰だったか
- その人が業務にどう関係しているか
が説明できないケースです。
例えば、
- 取引先の担当者以外が同席している
- 役職や担当業務が把握されていない
といった場合、
「なぜこのメンバーで会議をする必要があったのか」
という点で説明が詰まりやすくなります。
参加者の属性と会議目的が結びついていないと、交際費性が強く疑われます。
説明に詰まりやすい典型パターン③
「頻度が多く、定例化している飲食」
1回あたりの金額が少額でも、
- 毎月のように同じ相手と
- ほぼ同じ形式で
飲食を伴う会議費処理が続いている場合、税務調査では必ず注目されます。
このときに問われるのは、
- なぜ毎回飲食を伴う必要があるのか
- 本当に毎回会議が必要なのか
という点です。
頻度が高いほど、「実態は接待ではないか」と見られやすくなります。
説明に詰まりやすい典型パターン④
「社内会議なのに飲食内容が過剰」
社内会議の飲食費は比較的認められやすいと思われがちですが、
- 高額な飲食
- アルコール中心の内容
の場合、説明は簡単ではありません。
特に、
- 業務時間外
- 夜間・休日
に行われている場合には、
「福利厚生なのか」「懇親目的ではないのか」
といった点も含めて確認されます。
説明に詰まりやすい典型パターン⑤
「1万円以下だから大丈夫だと思っている」
交際費の1万円基準が導入されて以降、増えている誤解です。
1万円以下であっても、
- 会議の実態が不明
- 業務関連性が弱い
場合には、否認される可能性があります。
金額基準は、実態判断を不要にする免許証ではないという点を、税務調査では改めて突かれます。
税務調査で問われるのは「説明可能性」
税務調査で重視されるのは、
- 証憑の形式
- 勘定科目の名称
よりも、
- なぜその処理をしたのか
- どう説明できるのか
という点です。
完璧な議事録までは求められませんが、
- 会議の目的
- 参加者
- 業務との関係
が、後からでも説明できる状態にしておくことが重要です。
結論
会議費は、金額が小さくても、説明ができなければ税務調査では立ち行きません。
特に今後は、交際費課税の見直し議論が進む中で、会議費と交際費の線引きがより厳密に見られる可能性があります。
「会議費として処理しているから大丈夫」ではなく、
「会議費として説明できるか」という視点で、日常の経費処理を見直すことが重要です。
参考
・税のしるべ「8年度与党大綱で示された今後の税制改正の方向性、交際費課税は9年度改正で見直しを検討」
・令和8年度 与党税制改正大綱
・法人税法(交際費等の損金不算入関係)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
