資産形成をめぐる税制の中で、NISAはすでに多くの人にとって身近な制度となっています。
2026年度税制改正大綱では、このNISAについて制度の枠組みそのものに関わる見直しが行われました。
今回の改正は、非課税枠の拡大や期間延長といった「使いやすさ」の調整ではなく、
「誰が」「どのような目的で」NISAを使うのか、という点をより明確にしようとする内容です。
本稿では、今回の改正の中心である未成年者向けの制度見直しと、あわせて行われた運用ルールの変更について整理します。
NISA制度見直しの背景
NISAは、長期・積立・分散投資を通じた資産形成を後押しする制度として位置づけられています。
一方で、これまでの制度では、
・未成年者は原則として利用できない
・形式的な確認手続が利用の障害になる
といった課題が指摘されてきました。
今回の改正は、NISAを「成人してから始める制度」ではなく、「より早い段階から資産形成に関わる制度」として再設計する意図がうかがえます。
非課税口座の年齢制限の撤廃
今回の改正で大きなポイントとなるのが、非課税口座の口座開設可能年齢の下限が撤廃された点です。
これにより、未成年者であっても、一定の条件のもとでNISAを利用できる道が開かれました。
ただし、単に成人向けの制度をそのまま適用するのではなく、未成年者専用の管理方法が設けられています。
この点が、今回の改正を理解するうえで重要になります。
未成年者特定累積投資勘定の創設
改正では、未成年者向けに「未成年者特定累積投資勘定」が設けられます。
この勘定は、通常の特定累積投資勘定とは異なり、投資対象や管理方法が限定されています。
具体的には、投資できる商品は一定の公募株式投資信託に限られ、
また、一定の年齢に達するまでは、原則として払い出しが制限される仕組みとなっています。
これは、短期的な売買ではなく、教育費や将来の生活基盤を意識した長期的な資産形成を前提とした設計といえます。
払い出し制限と課税の考え方
未成年者特定累積投資勘定では、原則として一定年齢まで資産の払い出しができません。
例外的に、教育費など特定の事由がある場合に限り、所定の手続きを経て払い出しが認められます。
もし、ルールに反して払い出しが行われた場合には、非課税の取扱いが否定され、課税関係が生じる仕組みが設けられています。
この点は、制度の趣旨を明確にするための歯止めといえます。
住所確認手続の見直し
今回の改正では、NISA口座に関する運用面の見直しも行われています。
これまで行われていた定期的な住所等の確認手続が廃止され、金融機関側の運用に委ねる形に変更されます。
これにより、形式的な手続の遅れによって非課税投資ができなくなるといった事態は、一定程度緩和されることになります。
利用者にとっては、制度がより現実的な運用に近づいたといえます。
結論
2026年度税制改正大綱におけるNISAの見直しは、制度の対象を「大人の資産形成」から「世代をまたぐ資産形成」へと広げる内容となっています。
一方で、未成年者向け制度については、利用目的を限定し、慎重な運用を求める設計がなされています。
NISAは自由度の高い制度である一方、今回の改正を通じて、「何のために使う制度なのか」というメッセージがより明確になったといえるでしょう。
次回は、金融分野のもう一つの大きな改正である暗号資産課税の見直しについて整理します。
参考
・財務省「令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日 閣議決定)」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
