外国人材を雇用する企業が増えるなか、税務調査の現場でも外国人雇用に関する確認が行われるケースが増えています。
外国人を雇っていること自体が問題になるわけではありませんが、処理を誤っていると指摘や修正につながりやすい分野でもあります。
税務調査では、「制度を知っていたか」よりも「正しく処理されているか」が問われます。
外国人雇用に関して、どのような点が実際に見られているのかを整理しておくことは、企業にとって重要な備えとなります。
源泉徴収は正しく行われているか
税務調査で最初に確認されやすいのが、給与に対する源泉徴収の状況です。
外国人であっても、日本で勤務し給与を受け取っている場合、原則として源泉徴収の対象になります。
調査では、
・居住者か非居住者かの判定
・源泉徴収税率の適用誤り
・非居住者への一律税率の適用漏れ
などがチェックされます。
「外国人だから特別な処理をしていない」という対応が、結果的に誤りとなるケースも少なくありません。
年末調整の対象判断は適切か
年末調整についても、調査官が確認するポイントの一つです。
外国人従業員が年末調整の対象となるかどうかは、居住区分や年の途中での入退社状況によって異なります。
対象外であるにもかかわらず年末調整を行っていた、あるいは対象であるのに実施していなかった場合、
源泉所得税の過不足が生じ、是正の対象となります。
年末調整を「毎年のルーティン」で処理している企業ほど、判断ミスが起きやすい分野です。
給与か外注費かの区分
外国人材を業務委託として扱っているケースでは、給与と外注費の区分が重要な調査ポイントになります。
名目上は業務委託であっても、実態として指揮命令下で働いていれば、給与と判断される可能性があります。
調査では、
・勤務時間や場所の拘束
・業務内容の具体的な指示
・報酬の決定方法
などを総合的に見て判断されます。
この区分を誤ると、源泉徴収漏れや社会保険未加入といった問題に連鎖することがあります。
社会保険料と給与台帳の整合性
税務調査では、給与台帳と社会保険の加入状況との整合性も確認されます。
外国人だからといって社会保険の適用が除外されるわけではありません。
給与額に比べて社会保険料が不自然に低い、あるいは加入記録がない場合、
労務管理の不備として疑問を持たれることになります。
税務と労務は別分野ではありますが、調査の場では横断的に見られることを意識しておく必要があります。
在留資格と業務内容の確認
税務調査そのものは在留資格の審査を目的とするものではありません。
しかし、業務内容と在留資格が明らかにかみ合っていない場合、調査官が問題意識を持つことはあります。
その結果、他の行政機関との情報連携につながる可能性も否定できません。
企業としては、在留資格と実際の業務内容を整理し、説明できる状態にしておくことが重要です。
現金払いや帳簿管理の甘さ
一部の現場では、給与の一部を現金で支払っている例も見受けられます。
外国人従業員との間で、帳簿に残らない支払いが行われていると、調査では特に厳しく見られます。
給与台帳、賃金規程、雇用契約書の内容が一致しているかどうかは、基本的でありながら重要な確認事項です。
結論
外国人雇用に関する税務調査のポイントは、特別なものではありません。
基本的な税務処理や労務管理が、外国人材についても一貫して行われているかどうかが問われています。
「外国人だから分からなかった」「前任者から引き継いだだけ」という理由は、調査では通用しません。
事前に処理を点検し、説明できる体制を整えておくことが、最大のリスク回避策となります。
外国人雇用が当たり前になる時代だからこそ、税務調査の視点を踏まえた実務対応が、企業の信頼を守ることにつながります。
参考
・日本経済新聞
「人手不足1100万人」備えよ 2040年、外国人材が経済左右
・日本経済新聞
CheckPoint 外国人の受け入れは「無秩序」?
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
