外国人受け入れと地方経済 介護・農業・中小企業の現場で起きていること

政策

外国人労働者の受け入れを巡る議論では、「国の方針」や「社会的影響」が語られることが多くあります。
しかし、実際にその影響を最も強く受けているのは、地方経済の現場です。

介護、農業、そして中小企業。
これらの分野では、人手不足がすでに限界を超え、外国人材の存在が前提条件になりつつあります。
受け入れを抑制するかどうかという議論は、現場の実態とどの程度かみ合っているのでしょうか。

介護現場では「いなければ回らない」段階に

地方の介護現場では、慢性的な人手不足が続いています。
夜勤を含む不規則な勤務、身体的・精神的な負担の大きさに比べ、賃金水準は決して高くありません。

そのなかで、外国人介護人材はすでに欠かせない存在になっています。
特定技能や育成就労の枠組みを通じて受け入れられた人材が、現場を支えています。

受け入れが止まれば、サービス提供そのものが維持できなくなる施設も少なくありません。
介護分野における外国人受け入れは、「将来の選択肢」ではなく「現在の前提条件」となっています。

農業は季節労働と定住のはざまで揺れる

農業分野でも、外国人労働者の役割は大きくなっています。
収穫期など季節的な繁忙期に対応するため、外国人材なしでは作業が成り立たない地域もあります。

一方で、農業は単なる短期労働ではなく、技術の継承や地域との関係性が重要な産業です。
短期的な人手確保だけでは、持続的な経営につながりません。

定住を前提とした受け入れや、生活支援を含めた地域との関係づくりが不可欠ですが、現場任せになっているケースが多いのが実情です。

中小企業は「採用できないリスク」に直面している

地方の中小企業では、日本人の若年層を採用できない状況が常態化しています。
採用活動をしても応募がなく、事業の継続自体が危ぶまれる企業もあります。

そのなかで、外国人材は貴重な戦力となっています。
製造業、建設業、サービス業など、幅広い分野で現場を支えています。

しかし、在留資格の制約や更新手続きの煩雑さ、日本語能力への対応など、企業側の負担も小さくありません。
人事・総務部門を持たない中小企業ほど、対応が属人的になりがちです。

受け入れ制度と現場ニーズのズレ

制度上は、分野ごとに受け入れ人数の上限や条件が定められています。
「無秩序な受け入れではない」と説明される理由でもあります。

しかし、現場から見ると、制度は必ずしも実態に即していません。
必要な時期に必要な人数を確保できない、技能要件が現場の実情と合わない、といった声は少なくありません。

結果として、制度と現場の間にズレが生じ、経済活動の足かせになっている面があります。

地方経済の持続性という視点

地方経済を維持するためには、事業が継続できる人材基盤が不可欠です。
外国人材の受け入れを抑制することは、短期的には安心感を与えるかもしれません。

しかし、長期的には、介護サービスの縮小、農業の衰退、中小企業の廃業といった形で、地域の生活基盤そのものを弱体化させる可能性があります。
地方経済にとって重要なのは、「受け入れるかどうか」ではなく、「どう受け入れ、どう定着させるか」です。

結論

介護、農業、中小企業の現場では、外国人材はすでに欠かせない存在となっています。
受け入れを巡る議論が現場の実態から乖離すれば、地方経済の持続性は損なわれかねません。

必要なのは、制度の厳格化か緩和かという二者択一ではなく、現場の声を反映した実務的な制度設計です。
地方経済を守るという視点から、外国人受け入れ政策を再構築することが、これからの日本に求められています。

参考

・日本経済新聞
 「人手不足1100万人」備えよ 2040年、外国人材が経済左右
・日本経済新聞
 CheckPoint 外国人の受け入れは「無秩序」?


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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