シリーズ第4回 会計処理と消費税申告はどう変わるのか―リファンド方式を前提にした実務整理―

税理士
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前回は、リファンド方式における販売から返金までの実務フローを確認しました。
第4回では、そのフローを前提として、会計処理および消費税申告がどのように変わるのかを整理します。

リファンド方式は、免税制度でありながら、販売時点では課税取引として処理される点に特徴があります。
この点を正しく理解していないと、売上計上や申告処理で誤りが生じやすくなります。

販売時の会計処理の考え方

リファンド方式では、購入時点では消費税を含めた価格で販売します。
そのため、会計上は通常の課税売上として処理することになります。

現行制度のように、販売時点で非課税売上や免税売上として処理することはありません。
この点は、帳簿付けや売上管理の基本的な前提となります。

返金が行われた場合の処理

購入者が出国時に税関で輸出確認を受け、消費税相当額が返金された場合には、販売後に調整が生じます。
返金額は、実質的には消費税相当額の返還に該当します。

会計処理としては、返金が確定した時点で、売上高や消費税額について調整を行うことになります。
重要なのは、「販売時点での処理を遡って修正する」のではなく、「返金時点で調整する」という考え方です。

返金未了・返金不能となった場合

すべての免税対象取引が返金に至るわけではありません。
購入者が輸出確認を受けなかった場合や、返金手続が行われなかった場合には、返金は生じません。

この場合、当初の課税売上としての処理が確定します。
免税を前提とした特別な修正処理は不要であり、通常の課税売上として申告を行うことになります。

消費税申告への反映

消費税申告においては、原則として、課税売上として計上した金額を基に申告を行います。
返金が行われた場合には、その返金内容を踏まえて、申告額を調整します。

リファンド方式では、免税売上として処理する場面がなくなるため、課税区分の判断は比較的シンプルになります。
一方で、返金データと申告内容の整合性を取ることが、これまで以上に重要になります。

申告時に注意すべきポイント

返金処理が行われるタイミングと課税期間の関係には注意が必要です。
販売と返金が異なる課税期間にまたがる場合、どの期間で調整を行うかを整理しておく必要があります。

また、現行制度とリファンド方式が併存する移行期においては、取引ごとに適用制度を誤らないことが重要です。
販売日を基準に制度を判定し、会計処理と申告処理を統一することが求められます。

税理士・経理担当者の視点

リファンド方式では、免税判定よりも、会計データと返金データの管理が中心になります。
税理士や経理担当者としては、返金情報をどのように把握し、帳簿や申告に反映させるかを事前に整理しておく必要があります。

また、顧問先に対しては、従来の免税販売との違いを丁寧に説明し、誤った処理が行われないよう助言することが重要です。

結論

リファンド方式では、販売時は課税売上、返金時に調整という考え方が基本となります。
免税制度でありながら、会計・申告実務は「通常取引を基準に考える」点が、現行制度との大きな違いです。

次回は、制度移行に向けて事業者が何を準備すべきか、実務対応の視点から整理します。
会計と申告の整理を理解したうえで、具体的な行動につなげることが重要になります。

参考

・東京税理士協同組合 教育情報事業配布資料
「令和7年度税制改正関係(輸出物品販売場制度・リファンド方式)」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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