税務署から文書が届いたらどうする?個人事業主のための実務対応ガイド

税理士
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ある日、税務署から封書が届く。
中身を見る前から、なんとなく胸がざわつく。個人事業主であれば、多くの方が一度は経験する場面です。

ただし、税務署から届く文書=即、税務調査というわけではありません。近年は、AIやデータを活用した調査が進み、文書による確認や行政指導が大幅に増えています
本記事では、税務署から文書が届いたときに、個人事業主が落ち着いて取るべき実務対応を整理します。

まず最初にやるべきこと

文書が届いたら、最初にやるべきことはシンプルです。

・開封して全文を読む
・差出人と文書の名称を確認する
・回答期限の有無を確認する

税務署からの文書には、必ず「何について」「どこまで」「いつまでに」対応してほしいかが書かれています。
この段階で内容を決めつけたり、最悪のケースを想像したりする必要はありません。

文書の種類を見極める

税務署から届く文書には、いくつかのパターンがあります。

多いのは、
・申告内容についての照会
・添付書類や記載内容の確認依頼
・計算誤りや記載漏れの指摘

いずれも、いきなりペナルティを課すためのものではなく、「事実確認」が目的です。
この段階では、実地調査に発展するかどうかは未確定であるケースがほとんどです。

慌てて電話する必要はない

文書を読んで不安になると、すぐに税務署へ電話したくなるかもしれません。しかし、その場で即答できない内容については、無理に電話する必要はありません

文書には、回答方法として
・文書での回答
・資料の提出
・後日の連絡
などが示されています。

まずは、何を求められているのかを整理し、資料を確認することが先です。

帳簿と証憑を確認する

次に行うべきは、帳簿と証憑の確認です。

・該当する年分の帳簿
・請求書、領収書、契約書
・通帳や入金記録

税務署が見ているのは、「説明がつくかどうか」です。
完璧な帳簿である必要はありませんが、数字の根拠を自分で説明できる状態にしておくことが重要です。

修正が必要な場合は隠さない

確認の結果、
・計算ミス
・経費計上の誤り
・収入計上漏れ

が見つかることもあります。
この場合、無理に正当化しようとせず、事実として認めた上で修正対応を検討する方が、結果的に負担は小さくなります。

文書による段階での是正は、実地調査に比べて影響が軽微で済むケースが多いのが実情です。

回答は「簡潔・事実ベース」で

回答文書を作成する際は、
・聞かれていることにだけ答える
・事実と数字を中心に書く
・感情的な表現や推測は書かない

という点を意識します。
説明を長く書けば安心、というわけではありません。むしろ、要点が分かりにくくなることもあります。

不安な場合は専門家に相談する

内容が理解しづらい場合や、
・金額が大きい
・過去分に影響が及びそう
・対応に自信がない

と感じた場合は、早めに税理士へ相談することも一つの選択です。
文書の段階で相談することで、不要な誤解や調査の長期化を防げることもあります。

結論

税務署から文書が届いたとしても、それ自体が「問題が確定した」という意味ではありません。
現在の税務調査は、AIやデータを活用し、軽微な誤りは文書や簡易な接触で是正する流れが主流です。

個人事業主として大切なのは、
・文書を正しく読み
・落ち着いて事実を確認し
・誠実に対応すること

特別な対策よりも、日頃から帳簿と証憑を整えておくことが、最大の安心につながります。

参考

・税のしるべ「令和6事務年度の所得税調査等の状況」(2025年12月15日)
・国税庁「所得税及び消費税調査等の実施状況に関する公表資料」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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