<家計編②>ゼロ歳からのNISA 子ども名義投資が家計にもたらす変化

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2026年度税制改正大綱の中で、家計にとってもう一つ大きな転換点となるのが、少額投資非課税制度(NISA)の見直しです。長期の資産形成に使われてきた「つみたて投資枠」が、18歳未満にも拡大され、事実上ゼロ歳から利用できる制度へと変わります。
この改正は、単に投資できる年齢が下がったという話ではありません。家計の資産形成と教育費、さらには世代間の資産移転のあり方まで含めて、これまでとは異なる選択肢を提示しています。

18歳未満NISAの制度概要

今回の改正案では、「つみたて投資枠」を18歳未満にも解禁し、年間投資枠は60万円、総額600万円を上限とする方向です。これまでNISAは18歳以上が対象であり、未成年については別制度や課税口座を使う必要がありました。
制度上は「長期・積立・分散」を前提とした投資信託に限定されるため、短期売買や投機的な運用を想定したものではありません。あくまで、時間を最大の味方にした資産形成を後押しする設計です。

ゼロ歳から利用できるという点は象徴的ですが、実務的には「長期で積み立てられる期間が圧倒的に伸びる」という意味を持ちます。18年間積み立てる場合と、30年、40年積み立てる場合とでは、運用成果の差は無視できません。

教育費と資産形成をどう結びつけるか

この制度が注目される理由の一つは、教育費との相性です。大学進学までの期間を見据え、毎年一定額を積み立てていくことで、学費や留学費用などに備えるという考え方が現実的になります。
従来、教育費は「貯蓄で準備するもの」とされることが多く、運用を伴う場合でも課税リスクを意識せざるを得ませんでした。NISAの非課税枠を使うことで、運用益に税がかからない形で準備できる点は、家計にとって大きな違いです。

一方で、投資である以上、元本割れの可能性は常にあります。教育費という用途を考えると、運用商品の選択やリスク許容度の設定は慎重であるべきです。制度が使えることと、使うべきかどうかは別問題であることを意識する必要があります。

子ども名義投資がもたらす新たな論点

18歳未満NISAの導入により、「子ども名義で資産を持たせる」という行為が、より一般化する可能性があります。これは家計管理の柔軟性を高める一方で、いくつかの論点も浮かび上がります。

まず、実質的な資金拠出者が親である場合、贈与との関係をどう整理するかという問題があります。NISA口座自体は非課税ですが、資金の移動が贈与に該当するかどうかは別途考える必要があります。制度の普及とともに、実務上の整理が求められる場面は増えるでしょう。

また、子どもが成人した後、その資産をどのように管理・引き継ぐのかという点も重要です。長期にわたって積み立ててきた資産は、金額が大きくなる可能性があります。教育費として使うのか、本人の資産として引き継ぐのか、家族内でのルール作りが欠かせません。

なぜ今、この制度なのか

この改正の背景には、物価上昇と将来不安の長期化があります。賃金の伸びが限定的な中で、家計に自助努力による資産形成を求める流れは今後も続くと考えられます。
18歳未満NISAは、そうした流れを制度として後押しする位置づけです。国が直接給付を増やすのではなく、非課税制度を通じて長期投資を促すという選択は、日本の財政事情を反映したものともいえます。

同時に、この制度は「資産形成は早く始めた人ほど有利になる」という現実を、より明確にします。制度を使える家庭と使えない家庭の差が広がる可能性がある点は、今後の社会的な課題として残ります。

家計に求められる視点の変化

18歳未満NISAは、家計に新しい選択肢を提供しますが、万能な解決策ではありません。重要なのは、目的を明確にしたうえで使うことです。
教育費、将来の生活資金、資産承継など、どの目的に使うのかによって、運用方法や積立額は大きく変わります。税制はあくまで道具であり、使い方次第で効果もリスクも変わります。

結論

ゼロ歳から利用できるNISAは、日本の資産形成制度における大きな転換点です。長期投資の力を最大限に活かせる一方で、家計管理や資産移転に関する新たな判断も求められます。
制度の拡充を「お得かどうか」だけで捉えるのではなく、家族の将来設計の中でどのように位置づけるかが、これからの家計にとって重要なテーマになります。

参考

日本経済新聞「家計・企業の減税ずらり 来年度税制大綱、与党詰め」(2025年12月13日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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