住宅高騰対策として注目される空室税とは何か

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

住宅価格が全国的に上昇する中で、住まいを必要とする人が十分に購入できない状況が広がっています。こうした背景の中、国民民主党が居住を目的としない住宅に課税する空室税の法案を国会に提出しました。投機的な保有を抑え、地域の住宅価格の安定を図る狙いがあります。この記事では、今回の法案の内容と狙い、今後の論点について整理します。

空室税法案の概要

国民民主党が提出した法案では、居住を目的とせず保有されている住宅に対して市町村が非居住住宅税を課せる制度を設けるとしています。課税対象は、価格上昇が続き住民の住宅購入が難しくなっている地域に限定され、投機的な住宅取得を抑制する意図があります。

自治体が課税を判断する仕組みとなっており、地域の実情に応じて制度を運用できる点が特徴です。また、通常の住まいとして使用されている住宅は対象外です。国内では空き家問題が深刻化する一方、都市部では投資目的の住宅取得が増え、価格上昇を招いていると指摘されています。こうした状況に対し、空室税の導入が価格抑制の一つの手段として位置づけられています。

背景にある住宅価格の高騰

新築・中古ともに住宅価格が大幅に上昇しています。都市部では年収の数倍から10倍を超える価格帯が一般化し、実需層が手を出しにくい状況が続いています。国内外の投資マネーが住宅市場に入り、マンションを複数戸保有するケースも増えてきました。

需要に対して供給が追いつかないことも価格上昇の一因ですが、投機的な保有が価格を押し上げているとの指摘は以前からあります。空室税の導入によって、実態として使用されていない住宅にコストを課すことで、投機目的の取得に一定の抑制をかける効果が見込まれます。

自治体に与える影響

空室税は自治体が主体となって課税できる制度であるため、地域の住宅事情に応じて運用が分かれます。観光地や都市部では、別荘や投資物件として使用されずに長期間放置されている住宅もあり、地域住民の住宅取得を難しくしている側面があります。自治体が課税権を持つことで、地域ごとの課題に合わせた施策が可能となります。

また、税収は住宅政策や地域の居住支援に活用される可能性があります。住宅の流動性を高めるだけでなく、地域の財政にプラスとなる点も注目されています。

国際的にも広がる流れ

空室税は世界でも導入例が増えている制度です。カナダのバンクーバーや米国の一部都市では、非居住住宅への課税を実施し、一定の効果を上げています。国内でも空き家対策特別措置法があるものの、都市部の価格高騰に対応した税制は十分とは言えず、今回の法案はその空白を埋める位置づけとなります。

今後の論点

法案が成立しても、実際の運用にはいくつかの課題があります。第一に、課税対象となる住宅の定義をどのように明確にするかという問題です。居住実態をどのように把握するのか、短期利用やセカンドハウスをどう扱うのかなど、実務上の課題が想定されます。

第二に、課税が市場に与える影響の評価です。投機目的の保有が減る一方で、地域の住宅市場に出回る物件が増える可能性もあります。供給が増えることで価格の安定化が進む一方、所有者の売却が急増した場合には市場の調整が一時的に進むことも考えられます。

第三に、自治体ごとの差が生じる点です。地域間で課税の有無や税率が異なる場合、制度の公平性の観点から議論が起きる可能性があります。

結論

空室税の導入は、住宅価格の高騰が続く中で、投機的な保有を抑え住まいの安定供給を図るための新たな政策として位置づけられます。自治体が主体となる制度であるため、地域の課題に応じた柔軟な運用が期待されます。今後の国会審議や、各党の政策議論が進む中で、住宅市場の安定にどのような効果をもたらすのか注目されます。

参考

日本経済新聞「住宅高騰対策 空室税法案 国民民主が提出」(2025年12月12日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました