2026年度税制改正大綱を読む⑨ 自動車関係諸税はどう変わるのか ― 環境性能割・軽油引取税の見直しが意味するもの ―

税理士
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自動車に関する税負担は、取得時、保有時、利用時のそれぞれの段階で課されており、家計や事業活動に継続的な影響を与えています。
2026年度税制改正大綱では、こうした自動車関係諸税について、制度の簡素化と政策目的の整理を進める改正が盛り込まれました。

とくに注目されるのが、環境性能割の位置づけの見直しと、軽油引取税の当分の間税率の廃止です。
本稿では、今回の改正が何を目的とし、どのような影響をもたらすのかを整理します。

自動車関係諸税の全体像

自動車に関する税金は、
・自動車税(種別割)
・軽自動車税
・自動車重量税
・自動車税環境性能割
・軽油引取税
など、複数の税目から構成されています。

これらは、国税と地方税が混在しており、納税者から見ると分かりにくい構造になっています。
今回の改正は、この複雑な体系を一度に大きく変えるものではありませんが、方向性としては整理・簡素化を意識した内容となっています。

環境性能割の見直しの考え方

環境性能割は、自動車の取得時に、その環境性能に応じて課される税です。
燃費性能や排出ガス性能が高い車ほど税負担が軽くなる仕組みとなっています。

今回の改正では、環境性能割について、今後の在り方を見据えた整理が行われています。
環境性能の高い車が普及する中で、制度としての役割をどのように維持するのかが課題となっており、税制としての位置づけが再検討されています。

これは、単に税負担を軽くするかどうかという問題ではなく、環境政策と税制の関係をどう整理するかという視点からの改正です。

軽油引取税の当分の間税率の廃止

今回の改正で大きな節目となるのが、軽油引取税の「当分の間税率」の廃止です。
軽油引取税は、トラックやバスなど、物流や公共交通を支える車両に広く関係する税目です。

当分の間税率は、暫定的な措置として長期間続いてきましたが、今回の改正でその廃止が決定されました。
これにより、軽油価格に含まれる税負担は一定程度軽減されることになります。

物流コストや事業者の燃料負担に影響を与える改正であり、個人の家計というよりは、事業活動や地域経済への波及が意識された措置といえます。

地方税財源としての自動車関係税

自動車関係諸税の多くは、地方税として自治体の重要な財源となっています。
道路整備や交通安全対策など、地域のインフラを支える役割を担ってきました。

今回の改正では、税率の見直しと同時に、地方財政への影響にも配慮した措置が講じられています。
税負担の軽減と地方税収の確保をどのように両立させるかという課題が、引き続き残されています。

家計・事業者が受け止めるべき視点

自動車関係税制の改正は、短期的には税負担の増減として意識されがちです。
しかし、今回の改正を通じて見えてくるのは、
・環境性能を重視する流れ
・暫定税率の整理
・税体系の簡素化
といった中長期的な方向性です。

今後、自動車の選択や保有のあり方を考える際には、税制が段階的に変化していくことを前提に判断する必要があります。


結論

2026年度税制改正大綱における自動車関係諸税の見直しは、個々の税率変更以上に、税制の考え方を整理する意味合いが強い改正です。
環境政策と税制、国と地方の財源配分といった複数の要素を調整しながら、次の段階へ進もうとする姿勢が読み取れます。

自動車に関する税負担は、今後も段階的に見直されていく可能性があります。
短期的な損得だけでなく、制度全体の流れを意識しておくことが重要です。

次回はいよいよ最終回として、2026年度税制改正が示す「これからの税制の方向性」を総括します。


参考

・財務省「令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日 閣議決定)」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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