2026年度税制改正大綱では、基礎控除や給与所得控除の見直しに加えて、中低所得者への配慮を目的とした特例措置や所得要件の引上げが数多く盛り込まれています。
これらは一見すると細かな調整に見えますが、実際には扶養の判定や各種控除の適用可否に直結する重要な改正です。
本稿では、今回の改正のうち、中低所得者に関係する特例措置と所得要件の見直しについて整理します。
特例措置が設けられた背景
近年の物価上昇により、名目上の収入が増えていなくても、生活費の負担は確実に増しています。
しかし、税制上の各種所得要件や控除額は、必ずしも物価上昇に連動して見直されてきたわけではありません。
その結果、実質的には生活が苦しくなっているにもかかわらず、
・控除が使えなくなる
・扶養から外れる
といったケースが生じやすくなっていました。
今回の改正は、こうした歪みを一定程度是正することを目的としています。
基礎控除の特例加算
今回の改正では、基礎控除そのものの引上げとは別に、一定の所得水準以下の人を対象とした特例加算が設けられています。
合計所得金額が比較的低い人について、基礎控除額を上乗せする仕組みです。
この特例は、恒久的な控除額の引上げとは異なり、特定の年分に限定して適用される点が特徴です。
そのため、将来にわたって同じ条件が続くと考えるのではなく、毎年の制度確認が必要になります。
扶養・配偶者・子に関する所得要件の見直し
基礎控除や給与所得控除の引上げに合わせて、各種所得要件も見直されています。
具体的には、同一生計配偶者や扶養親族の合計所得金額要件が引き上げられます。
これにより、これまでであれば所得要件をわずかに超えて扶養から外れていたケースでも、引き続き扶養に入れる可能性が広がります。
とくに、パートやアルバイトで働く配偶者や学生の子がいる家庭では、実務上の影響が大きい改正です。
勤労学生・ひとり親に関する改正
勤労学生についても、合計所得金額要件が引き上げられています。
これにより、アルバイト収入がある学生でも、一定の範囲内であれば勤労学生控除を受けやすくなります。
また、ひとり親控除についても、控除額の引上げが行われています。
ひとり親世帯は、生活費や教育費の負担が重くなりやすいことから、今回の改正はその実情を反映したものといえます。
家内労働者等の必要経費の最低保障額
事業所得や雑所得を得ている人のうち、家内労働者等に該当する場合には、必要経費の最低保障額が引き上げられます。
これは、実際の経費が少ない場合でも、一定額を経費として差し引ける制度です。
副業や在宅ワークを行っている人にとっては、所得金額の計算に影響するため、見落としやすいものの重要な改正といえます。
結論
2026年度税制改正大綱における中低所得者への配慮は、単一の制度変更ではなく、複数の控除や所得要件を組み合わせて行われています。
そのため、一部だけを見て判断すると、制度の全体像を誤解しやすい点に注意が必要です。
とくに、扶養や控除の判定は、年末調整や確定申告の実務に直結します。
収入が大きく変わっていない場合でも、制度変更によって結果が変わる可能性があることを意識しておく必要があります。
次回は、住宅ローン控除を中心に、住宅・土地税制の見直しについて整理します。
参考
・財務省「令和8年度税制改正大綱(令和7年12月26日 閣議決定)」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
