2025年12月26日、政府は「2026年度税制改正大綱」を閣議決定しました。
毎年公表される税制改正大綱は、その年だけの制度変更をまとめた資料ではなく、国が今後どのような方向で税制を組み立てていこうとしているのかを示す重要な政策文書です。
今回の大綱は、物価上昇が続く中での家計負担への配慮、就業調整への対応、企業の成長投資の後押し、そして税負担の公平性確保といった複数の課題に同時に応えようとする内容となっています。
この連載では、2026年度税制改正大綱をテーマ別に分解し、私たちの生活や実務にどのような影響があるのかを順に整理していきます。
第1回となる本稿では、まず今回の税制改正大綱の全体像を確認します。
本文
税制改正大綱とは何を示すものか
税制改正大綱は、翌年度以降に行われる税制改正の基本方針と主要項目をまとめたものです。
個々の制度の細かな運用は、その後に法律改正や政省令改正を通じて具体化されますが、大綱の段階で改正の方向性はほぼ固まっています。
そのため、大綱を読むことで、
・どの分野に重点が置かれているのか
・誰の負担が軽くなり、どこに調整が入るのか
を俯瞰的に把握することができます。
2026年度改正の大きな柱
今回の大綱を通して見えてくる柱は、大きく分けて次の四つです。
第一に、物価上昇への対応です。
基礎控除や給与所得控除について、物価上昇に伴う実質的な目減りを防ぐ仕組みを導入しつつ、課税最低限を178万円まで引き上げる特例措置が盛り込まれています。
第二に、就業調整への対応と中低所得者への配慮です。
扶養や各種所得要件の見直し、ひとり親控除の引上げなどを通じて、働き方や家族構成の多様化に対応しようとする姿勢が読み取れます。
第三に、成長投資の促進です。
設備投資や研究開発、賃上げを後押しする税制について、拡充と同時に見直しが行われています。単なる減税ではなく、政策目的に沿った税制へと整理が進められています。
第四に、税負担の公平性の確保です。
極めて高い所得に対する負担の見直しや、暗号資産を含む金融分野の課税ルール整備など、これまで制度の外縁にあった分野にも手が入っています。
個人の生活にどう関係するのか
今回の改正は、法人税や専門的な租税特別措置だけでなく、
・給与所得者
・年金受給者
・子育て世代
・住宅取得を考えている人
といった、幅広い層に直接関係します。
とくに、基礎控除・給与所得控除・住宅ローン控除・NISA・暗号資産課税などは、確定申告や年末調整の実務に直結するテーマです。
制度を知らないまま従来どおり行動すると、想定外の影響を受ける可能性もあります。
結論
2026年度税制改正大綱は、「物価上昇が常態化する時代」を前提に、税制の考え方そのものを少しずつ組み替えていく内容となっています。
一時的な減税や負担軽減にとどまらず、働き方、資産形成、住まい方といった個人の行動に税制をどう結びつけるかが、より明確に意識されています。
次回は、今回の改正の中でも関心が高い「所得税の課税最低限178万円への引上げ」と、基礎控除・給与所得控除の見直しについて、具体的に整理していきます。
参考
・財務省「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日 閣議決定)」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

