高市政権と円相場――「円安修正シナリオ」は本物か

政策

長く一方向に進んできた円安に、足元で変化の兆しが見え始めています。日米両政府によるレートチェックをきっかけに、外国為替市場では「円安は一服したのではないか」「転換点になる可能性がある」との声が広がっています。
背景として注目されているのが、高市早苗政権の財政運営スタンス、とりわけ消費税減税を巡る姿勢の変化です。本稿では、日経の記事内容を整理しつつ、「高市円安修正シナリオ」がどこまで現実味を持つのかを考えてみます。

円安に歯止めをかけた「レートチェック」

今回の局面転換の起点となったのは、米金融当局によるレートチェックでした。為替介入そのものではないものの、市場に対して強いメッセージ性を持つ措置であり、実際に円相場は短期間で大きく切り返しました。
さらに、米国側からドル安を容認するかのような発言が相次いだことで、円高・ドル安の動きが一段と意識される展開となりました。市場では「日米が円安と金利上昇の共振をいったん抑え込んだ」との評価が広がっています。

市場が見始めた「日本側の返礼」

この米国の動きを受け、市場関係者の間では「次は日本側が応じる番ではないか」という見方が浮上しています。その中心にあるのが、財政健全化への姿勢、とりわけ消費税減税へのスタンスです。
高市政権はこれまで積極財政色が強いと受け止められてきましたが、衆院選を巡る発言や公約の表現を見ると、消費税減税については慎重なトーンが目立ちます。実際、選挙公示日の演説で消費税減税に触れなかった点や、世論調査で「食料品の消費税ゼロは効果がない」との回答が過半を占めた点は、市場心理に影響を与えています。

「日本版TACO」観測とは何か

こうした状況を背景に、一部の市場参加者が意識し始めているのが「日本版TACO」観測です。TACOとは「トランプ氏はいつも腰砕け」を意味する市場用語ですが、これを日本に当てはめると、「強い政策姿勢を示しつつ、最終的には実行に踏み切らない」という見方になります。
仮に高市政権が消費税減税を見送れば、財政悪化懸念は後退し、円売り圧力は和らぐ可能性があります。市場が円安修正を織り込み始めている背景には、こうした政策面の読みも含まれています。

分水嶺として意識される「149円」

テクニカル面でも、注目水準ははっきりしています。短期的には円高シグナルが点灯している一方、中長期ではまだ円安基調が完全には崩れていません。
その分かれ目として意識されているのが、149円台です。一目均衡表の週足で見た雲の下限、そして200日移動平均線が重なる水準でもあり、この水準を明確に上回るかどうかが、円高トレンド定着の試金石になると見られています。

結論

今回の円高局面は、単なる短期的な調整ではなく、政策と市場心理が複雑に絡み合った結果だといえます。高市政権が消費税減税にどこまで踏み込むのか、あるいは踏みとどまるのか。その判断次第で、円相場の方向性は大きく変わり得ます。
149円という分水嶺を前に、市場は「言葉」ではなく「行動」を見極めようとしています。円安修正シナリオが本物かどうかは、今後の政策運営の具体像によって試される局面に入ったといえるでしょう。

参考

・日本経済新聞 2026年1月30日朝刊
「〈ポジション〉高市円安に修正シナリオ 消費減税、市場に日本版TACO観測」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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