金投資は「当たるか」ではなく「備えとして持つ」時代へ――インフレ・円安下で考える金の位置づけ

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ここ数年、金(ゴールド)の価格上昇が続いています。
2024年以降は円安の進行も重なり、日本円ベースでは過去に例を見ない水準に達しました。

こうした状況を受け、「金に投資すべきか」「もう高すぎるのではないか」と迷う人も少なくありません。
一方で、金は株式や債券とは異なる性格を持つ資産であり、価格上昇を狙う投資対象というより、経済環境の変化に備えるための資産として再評価されています。

本稿では、最近の金価格上昇の背景を整理したうえで、
金投資をどのように位置づけ、どの手段で持つのが現実的なのかを考えていきます。

金価格が上昇している背景

世界的なインフレと地政学リスク

金価格上昇の最大の要因は、世界的なインフレと地政学リスクの高まりです。
金は実物資産であり、通貨の価値が揺らぐ局面では相対的に価値を保ちやすいとされてきました。

近年は、ロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の不安定化などを背景に、「有事の資産」としての金の需要が再び強まっています。
特に注目すべき点は、新興国の中央銀行が外貨準備として金を積極的に購入していることです。
ドル資産への依存を下げる動きが続く中、金は国家レベルでも重要な役割を担っています。

日本特有の要因としての円安

日本においては、円安の影響も金価格を押し上げています。
国内の金価格は、ドル建ての国際価格に為替レートを掛け合わせて決まるため、円安が進むほど円建て価格は上昇します。

その結果、ドル建てでは緩やかな上昇であっても、日本円では急激な値上がりに見えるケースが生じています。
この点は、日本の投資家が金を考えるうえで重要な視点です。

金は「増やす資産」ではなく「守る資産」

金は、株式のように配当を生み出す資産ではなく、債券のように利息を生むわけでもありません。
したがって、長期的に見れば、常に高いリターンを期待できる資産ではありません。

しかし、金には次のような特徴があります。

  • 株式や債券と値動きが異なりやすい
  • 株式市場が大きく下落した局面で相対的に底堅い
  • インフレや通貨安に対する耐性を持つ

このため、金は「当てにいく投資」ではなく、資産全体の変動リスクを抑えるための調整弁として機能します。
金を保有する意義は、価格が上がるかどうかよりも、下落局面で資産全体を支える役割にあります。

金の保有割合はどの程度が妥当か

専門家の意見を見ても、金の適正割合については幅があります。
一般的には、運用資産全体の10〜15%程度を目安とする考え方が多く見られます。

この水準であれば、金価格が一時的に下落しても、資産全体への影響は限定的です。
一方、すでに金価格の上昇によって保有割合が大きく膨らんでいる場合には、一部を売却してリバランスするという考え方も合理的です。

重要なのは、「いまから上がるかどうか」で判断するのではなく、
自分の資産全体の中で金がどの役割を担っているかを基準に考えることです。

個人が金に投資する主な方法

現物(金地金・金貨)

金地金や金貨を購入する方法は、最も分かりやすい金投資です。
ただし、保管コストや盗難リスクがあり、売買時の手数料も比較的高くなります。

また、税務上は譲渡所得として総合課税となるため、所得水準によっては税負担が重くなる点にも注意が必要です。

純金積立

毎月一定額を積み立てる純金積立は、少額から始めやすい方法です。
価格変動の影響を平準化できる点はメリットですが、こちらも税務上は現物と同様の扱いになります。

ETF・投資信託

資産運用の手段として金を保有する場合、ETFや投資信託は現実的な選択肢です。
保管の手間がなく、コストも比較的低く抑えられます。

NISAの成長投資枠の対象となる商品も多く、非課税での運用が可能です。
また、課税口座であっても、株式等と同様に分離課税となり、損益通算ができる点は大きなメリットです。

為替リスクについては、円安への備えを目的とする場合、為替ヘッジなしの商品が基本となります。

税金の違いは必ず意識する

金投資では、どの方法で保有するかによって税金が大きく異なります
現物や純金積立は総合課税、ETFや投信は分離課税という違いは、長期的な運用成果に影響します。

特に、所得が高い人ほど、この違いは無視できません。
投資判断の際には、価格動向だけでなく、税務面まで含めて整理することが重要です。

結論

金投資は、「いまから上がるかどうか」を当てにいくものではありません。
インフレや円安、地政学リスクといった不確実性が高まる時代において、
資産全体を守るための保険として持つという考え方が適しています。

自分の資産構成の中で金が果たす役割を確認し、
過度に偏ることなく、冷静に組み入れることが重要です。
金は主役ではなく、あくまで脇役として、長く付き合う資産と言えるでしょう。

参考

  • 日本経済新聞「金投資、インフレ・円安に備え ETFや投信が低コスト」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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