金と米株が同時に爆発的上昇する時代:その背景とリスクをどう読むか

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2025年、金価格と米国株がそろって急上昇するという、過去50年で見られなかった現象が起きています。国際決済銀行(BIS)はこの動きを「同時バブル」と評し、1980年の金バブル期を例に挙げながら警戒感を示しました。金は安全資産という従来の位置づけから大きく姿を変え、短期利益を求める個人投資家のマネーが流れ込む投機性の高い資産へと変貌しつつあります。本稿では、金と米株の同時上昇の背景、歴史的文脈、今後予想されるリスク、そして投資家が考えるべき行動について整理します。

1. 金と米国株が同時に跳ね上がる「異例の相場」

金の価格は2024年末と比べて約6割上昇し、過去最高値を連日更新しています。一方で、S&P500は約16%上昇、ナスダックは22%上昇と堅調ではあるものの、金の勢いが突出しています。

通常、金と株価は逆相関になりやすく、株が好調な局面では金は売られやすい構造があります。それにもかかわらず、今回は両者がそろって上昇しており、BISが「過去に例のないパターン」と指摘した点が注目されます。

2. 金価格上昇を支えたのは「個人の熱狂」

BISは、金相場を押し上げている主因として個人投資家の大規模流入を挙げています。従来、金は「有事の資産」として保有される色合いが強く、投機対象としては株式や暗号資産に比べて人気が高いとは言えませんでした。

しかし2025年の急騰局面では、短期的な値上がり益を求めるマネーが殺到し、「安全資産から投機資産へ」という構造変化が生じた可能性があります。金ETFやネット証券経由の小口取引が普及したことも、個人マネーを呼び込む追い風となりました。

3. AIバブルと連動する米株高との共通点

米国株の上昇はAI関連企業の期待値が牽引してきました。生成AIの導入拡大、AIインフラ投資、データセンター需要の増大などの構造トレンドが続き、投資資金はテクノロジー株へ流入しています。

金と米株が同時に買われている背景には、以下の共通点があります。

  • インフレ懸念や金利不安の高まり
  • 世界的な資金余剰
  • 新しい投資テーマへの熱狂(AI・金)
  • 投資経験の浅い個人投資家の参入増加

一見対照的な資産が同時に上昇する現象こそが、BISが「バブルの兆候」と指摘する理由です。

4. 過去の1980年バブル期との比較

1980年、金価格は世界的なインフレと地政学リスクを背景に急騰しました。しかしその直後、大幅な金利引き上げを受けて金相場は急落します。BISがこの局面を例として挙げているのは、「急激に上昇した資産には大きな調整が訪れやすい」という経験則があるためです。

今回も以下の条件がそろい始めています。

  • 米国のAI投資ブームに対する過大期待指摘
  • 個人投資家中心の過熱
  • 金の基礎需給を超える価格形成
  • 金利環境の不透明感

BISはこれらを「調整の前兆」と見ている可能性があります。

5. 金と米株が同時に下落するシナリオ

フィデリティ投信の重見氏は「AIの先行き不透明感が高まり、株価と金が同時に調整局面に入るリスク」を指摘しています。特に金は投機色が強まっているため、売りが売りを呼ぶ展開になりやすい点に注意が必要です。

同時下落が起きた場合、投資家マネーは次のように動くと予想されます。

  • 短期的:国債やMMFなど安全資産に移動
  • 中期的:現金比率の上昇
  • 長期的:再び株式市場への回帰(調整後)

「株と金の両方が高い」という状況は、逆に言えば「両方が高すぎる」のかもしれません。

6. 個人投資家はどう向き合うべきか

現在の市場環境は、短期的には魅力的に見えても、中期的にはボラティリティの急上昇を招きやすい構造です。以下の基本戦略が有効です。

  • 過度に金へ集中させない
  • 金はポートフォリオの保険と割り切る
  • 株式はAI関連に偏りすぎない
  • 債券・現金比率を確保し、下落局面の「買いの余力」を残す
  • 長期投資ではドルコスト平均法を維持し続ける

特に金は「儲かりやすい資産」ではなく「守る資産」であることを忘れてはいけません。


結論

金と米株が同時に爆発的に上昇するという異例の市場は、投資家心理の過熱を示す重要なシグナルです。過去にも似た局面では大きな調整が起きており、今回も例外ではない可能性があります。金と株の双方が高値圏にあるからこそ、資産全体のバランスを見直し、中長期の投資方針を改めて確認する好機と言えます。市場の熱狂に流されるのではなく、冷静な視点で次の局面を見据える姿勢が求められています。


参考

  • 国際決済銀行(BIS)四半期報告書(2025年12月)
  • 日本経済新聞「金と米株、爆発的上昇」ほか関連報道

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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