2026年1月、36年ぶりとなる1月中の衆院解散が行われました。選挙日程は2月8日投開票とされ、国会運営は一気に不透明感を強めています。
今回の解散がもたらす最大の実務的論点は、令和8年度予算と税制改正法が年度内に成立するのか、という点です。加えて、自民党は選挙公約として、食料品の消費税率を2年間ゼロにする方針を掲げました。
本稿では、衆院解散が税制改正スケジュールに与える影響と、時限的な食料品消費税ゼロ政策の位置づけについて整理します。
衆院解散と税制改正スケジュールの関係
予算と税制改正法は、毎年セットで国会審議が進められ、年度末に同時成立するのが通例です。
例年の流れでは、予算案は1月中下旬に国会提出、2月中に衆院通過、3月末成立というスケジュールをたどります。税制改正法案も、国税・地方税ともに2月上旬までに提出されるのが通常です。
しかし、今回は2月8日に衆院選が行われるため、選挙後に国会審議を再開しても、日程は極めて窮屈になります。仮に選挙後も同じ政権が続いたとしても、予算案や税制改正法案の提出は例年より遅れ、年度内成立が難しいとの見方が広がっています。
高市首相自身も、予算成立を急ぐ姿勢を示しつつ、暫定予算編成の可能性に言及しています。これは、税制改正についても当初予定通り4月からの実施が困難になるリスクを示唆しています。
税制改正法が後回しになるリスク
首相会見では、高校無償化や給食費無償化といった歳出関連施策への言及が目立ちましたが、税制改正法への具体的な言及はありませんでした。
この点は重要です。税制改正は制度設計だけでなく、システム改修、事業者対応、地方自治体の準備など、多方面に影響を及ぼします。成立が遅れれば、実施時期の後ずれや、一部改正の先送りが現実的な選択肢となります。
特に、実務面では「成立時期が読めない」こと自体が最大の負担となります。企業や個人が事前準備を進めにくくなるためです。
食料品の消費税率ゼロはどの位置づけか
今回の選挙公約で注目されているのが、軽減税率が適用されている食料品について、2年間に限り消費税を課さないとする方針です。
これは自民党と日本維新の会の連立合意にも盛り込まれており、首相自身が強い思い入れを示しています。
ただし、この政策は即時実施が決まっているものではありません。選挙後に設置される社会保障・税一体改革を議論する国民会議で、財源、スケジュール、制度設計を含めて検討される予定とされています。
給付付き税額控除との関係、事業者のシステム対応負担、外食や他取引への影響、赤字国債に依存しない財源確保など、課題は多岐にわたります。
政権交代が起きた場合の影響
仮に選挙結果によって政権交代が起きた場合、昨年12月に閣議決定された予算案や政府税制改正大綱は、大幅な見直しを受ける可能性が高まります。
その場合、国会提出自体がさらに遅れ、暫定予算の期間が長期化することも想定されます。税制改正は内容だけでなく、タイミングの不確実性という新たなリスクに直面します。
結論
今回の衆院解散は、税制改正を巡る不確実性を一段と高めました。
年度内成立が難しくなる可能性が高い中で、どの改正が優先され、どの施策が後ろ倒しになるのかを冷静に見極める必要があります。
食料品消費税ゼロについても、選挙公約としてのメッセージ性と、実務・財政の現実との間には距離があります。今後は、国民会議での議論内容と、税制改正法の提出・成立時期を丁寧に追うことが重要です。
税制は政治の影響を強く受けますが、最終的に負担と対応を求められるのは、企業や国民一人ひとりです。制度の行方を注視しつつ、過度な期待や早合点を避ける姿勢が求められます。
参考
・税のしるべ 2026年1月26日号
・首相官邸公表資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

