2026年の衆院選は、消費税減税をめぐる異例の選挙となっています。
与野党の多くが減税を公約に掲げる一方で、国債利回りの急上昇や円安進行といった「市場の警告」が同時に表面化しました。
消費税減税は本当に家計を救う政策なのか。
そして、なぜ市場はここまで敏感に反応したのか。
今回の日経の一連の記事は、この問いに重要な示唆を与えています。
自民党内に残る「慎重論」という現実
日経の候補者アンケートによると、自民党では回答者の約2割が「消費税率10%は維持すべき」と答えています。
この中には現職閣僚や党税制調査会幹部、財務相経験者が含まれていました。
一方で、新人候補や基盤の弱い候補ほど減税を主張する割合が高く、選挙事情が政策姿勢に影響している構図も浮かび上がります。
つまり、自民党の公約に書かれた「食料品2年間ゼロ」は、党内の合意というより、選挙対応としての側面が強いと言えます。
問われなかった「財源」という核心
より深刻なのは、財源論がほぼ語られていない点です。
社会保障費が拡大する中での財政規律について、自民党候補者の約8割が「どちらともいえない」と回答しました。
増税、給付削減、国債増発――。
いずれの選択肢にも明確に向き合わず、判断を先送りしている姿勢は、有権者だけでなく市場にも伝わります。
減税そのものよりも、「その後どうするのか」が示されないことこそが、不安を増幅させています。
市場が見ているのは「言葉の揺れ」
政府は長期金利上昇について「海外の誤解」や「世界の勘違い」を指摘しています。
しかし、首相や官房長官の発言を追うと、減税時期の前倒しや期間延長の可能性が示唆され、当初の公約より踏み込んだ内容が語られています。
市場が警戒しているのは、消費税減税そのものではありません。
「2年限定」が守られるのか、対象が広がらないのか、そして出口戦略があるのか。
その一貫性のなさを、債券市場は冷静に見ています。
金利上昇が突きつける現実
長期金利の上昇は、国の利払い費を急増させます。
財務省の試算では、金利がさらに上がれば、将来の利払い費は社会保障費に匹敵する水準に達します。
しかも、超長期国債の消化が難しくなり、短期国債に依存する構造は、家計で言えば「短期借入に頼る状態」に近づきます。
これは、財政運営の自由度を大きく奪う要因になります。
本当に問われるべきもの
今回の選挙で問われているのは、「減税か維持か」ではありません。
本来の争点は次の点にあるはずです。
- 一時的な家計支援と中長期の財政運営をどう両立させるのか
- 成長戦略なき減税をどう位置づけるのか
- 金利ある世界で、誰が市場と対話する責任を負うのか
これらに答えないまま減税だけを掲げることは、将来世代へのツケを曖昧に先送りする行為でもあります。
結論
消費税減税は、短期的な人気取りの政策としては分かりやすい選択です。
しかし、財政規律や成長戦略と切り離された減税は、市場から「無責任」と映ります。
日本はすでに「金利のある世界」に戻りました。
この現実から目を背けず、選挙後も持続可能な説明ができるかどうか。
それこそが、2026年衆院選でリーダーに問われている責任だと考えます。
参考
- 日本経済新聞「消費減税、自民に慎重論 閣僚含め『現状維持』2割」
- 日本経済新聞「〈リーダーの責任 衆院選2026〉『日本売り』処方箋示せ」
- 日本経済新聞「〈CheckPoint〉金利上昇は『世界の勘違い』?」
- 日本経済新聞「『消費税率維持すべき』全回答でみると7%」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

