消費税はどこへ消えているのか――社会保障財源としての現実と限界

政策

消費税は、私たちの生活のあらゆる場面で負担している税金です。
一方で、「集めた消費税は何に使われているのか」「本当に社会保障に使われているのか」といった疑問を耳にすることも少なくありません。

衆院選を前に、消費税減税を巡る議論が活発になる中で、あらためて消費税収の使い道と、その役割を整理しておくことは重要だといえます。

消費税収は国と地方で分け合われている

現在の消費税率は10%ですが、そのすべてが国に入るわけではありません。
税率のうち2.2%分は地方消費税として都道府県・市町村に配分されます。さらに、国に入った消費税の一部は地方交付税として自治体に回され、財源不足の調整に使われています。

これらを合計すると、消費税収のおよそ4割は地方の財源となっており、地域の行政サービスを支える重要な柱になっています。

社会保障財源と位置づけられた背景

消費税収を年金・医療・介護・子育て支援の「社会保障4経費」に充てる方針が明確になったのは、2012年の社会保障と税の一体改革です。
当時、税率は5%から10%へと段階的に引き上げられ、地方分を除いた国の消費税収は社会保障目的に使うことが約束されました。

この考え方自体は新しいものではなく、1970年代の消費税導入議論にまでさかのぼります。高度経済成長の終焉と高齢化の進行を背景に、所得税や法人税だけに依存しない安定的な財源が求められていたのです。

所得税を補完する税としての役割

消費税には、所得税を補完する役割も期待されてきました。
所得税は、特に自営業者などを中心に、実際の所得を完全に把握することが難しいという課題があります。

消費という行動に着目して課税する消費税を組み合わせることで、経済活動が活発な人ほど負担が増える仕組みを補強する狙いがありました。

増え続ける税収と埋まらないギャップ

近年、消費税収は着実に増えています。
物価上昇の影響もあり、2024年度の国の消費税収は過去最大を更新し、一般会計税収の中で最も大きな税目となりました。

しかし、それでも社会保障費を賄いきれていません。
2025年度当初予算では、地方交付税分を除いた消費税収は約20兆円にとどまり、社会保障4経費の約34兆円には大きく及ばない状況です。

不足分は赤字国債など、将来世代の負担となる借金で補われています。

減税議論で避けて通れない視点

本来、年金や医療は保険料で完結することが理想ですが、高齢化が急速に進む日本では現実的ではありません。
税と借金を組み合わせて支える構造が続いています。

その中で消費税を減税するのであれば、代替財源の確保や歳出の見直しを避けて通ることはできません。
単に税率を下げるかどうかではなく、社会保障をどう支え続けるのかという視点が求められます。

結論

消費税は、単なる「家計を圧迫する税」ではなく、社会保障と地方行政を支える基幹財源です。
一方で、その税収だけでは社会保障費を賄いきれず、構造的な不足が続いています。

消費税を巡る議論では、負担の重さだけでなく、使い道と財政全体のバランスを冷静に見つめることが欠かせません。
選挙の争点として消費税が語られる今こそ、数字と仕組みに基づいた議論が求められているといえるでしょう。

参考

日本経済新聞「衆院選の焦点 消費税を知る(下)消費税収、何に使っている? 年金・医療…社会保障に充当」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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