2025年7~9月期、世界の金融市場では少し不思議な現象が起きました。株式と金(ゴールド)が同時に最高値を更新したのです。通常、株と金は「逆相関」と言われ、一方が上がればもう一方は下がりやすいのですが、今は違います。なぜ「株・金同時高」が起きているのでしょうか?
この記事では、その背景と投資家にとっての意味を整理してみます。
株も金も買われる理由
背景にあるのは「通貨価値の低下」への警戒です。
- 米国のインフレ懸念
トランプ政権がFRBに利下げ圧力をかける中、インフレが再加速するとの見方が強まっています。実質金利(名目金利-予想インフレ率)はマイナス圏に近づき、現金や債券を持つだけでは資産価値が目減りしかねません。 - 株式が買われる理由
企業業績への期待と、マネーの行き場のなさ。米ナスダックや日経平均は最高値を更新しました。 - 金や銀が買われる理由
「安全資産」としてインフレヘッジになるからです。金は年初来で4割高、銀やプラチナも「割安感」から資金が流入しています。
つまり投資家は、株でリターンを狙いつつ、金でリスクヘッジをするという「二刀流」の戦略を取っているのです。
著名投資家たちのメッセージ
今回の「株・金同時買い」を象徴するのが、ウォール街の重鎮たちの発言です。
- ジェフリー・ガンドラック氏(債券王)
「金をポートフォリオに25%入れても過剰ではない」と発言。債券より金を重視する姿勢が鮮明です。 - マイケル・ウィルソン氏(モルガン・スタンレー)
「株60%、金と債券20%ずつ」の新たな資産配分を提唱。従来の「株60%、債券40%」から金を重視するスタイルにシフトしています。 - レイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター創業者)
インフレ再加速とドル安のリスクを指摘。「金を10~15%組み入れるべき」と推奨。
これまで「代替資産」とされていた金が、株や債券と並ぶ主要資産として位置づけ直されつつあるのです。
インフレ時代の資産防衛戦略
では、一般の投資家はどう考えればいいのでしょうか?
- 株と金をバランスよく
株は成長のリターンを狙い、金はインフレや通貨下落時の守りになります。 - 債券は慎重に
インフレが続くと債券の利息の実質価値は減ってしまいます。比率を減らす投資家が増えています。 - 金ETFなどで手軽に分散
実物の金を買うだけでなく、金ETFや積立型商品で少額から投資できます。 - 金の割合は少しずつ増やす
プロでも「10~25%」と幅があるため、焦らず少しずつ組み入れるのが現実的でしょう。
まとめ
- 2025年夏、株と金が同時に最高値を更新。
- 背景には「通貨価値の低下」や「インフレ再加速」への警戒。
- ウォール街の大物投資家たちも金を主要資産として推奨。
- 一般投資家にとっても、株だけでなく金を組み入れる戦略が現実的になってきた。
これからの投資は「株だけ」「債券だけ」ではなく、株+金の組み合わせが資産を守り、増やすための新しい常識になるかもしれません。
📌 出典:日本経済新聞「Quarterly Review 7~9月(上) 株と金 同時買い広がる」
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という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

