修正申告を勧められたとき、どう考える?個人事業主のための実務判断ガイド

税理士
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税務署とのやり取りの中で、
「修正申告を検討してください」
「修正申告をしていただければと思います」
といった言葉をかけられると、多くの個人事業主は戸惑います。

修正申告という言葉には、
「自分が悪いことをしたのではないか」
「断ったら不利になるのではないか」
という不安がつきまといがちです。

しかし、修正申告は制度として用意された是正手段であり、必ずしもネガティブなものではありません。
本記事では、修正申告を勧められたときに、どのように考え、どう判断すればよいのかを整理します。

修正申告とは何か

修正申告とは、すでに提出した申告内容に誤りがあり、納める税額が少なかった場合に、自ら訂正する手続きです。

重要なのは、修正申告は
・税務署に強制されて行う処分ではない
・納税者が自主的に行う手続き
であるという点です。

税務署が「修正申告を勧める」のは、事実関係を確認した結果、申告内容に修正が必要と考えられる場合です。

「勧められた=必ず応じなければならない」ではない

まず大前提として、修正申告は義務ではありません
内容に納得できなければ、その場で即決する必要もありません。

ただし、
・事実関係が明らか
・計算誤りや認識違いがはっきりしている
場合には、修正申告を選択する方が、結果的に負担が小さくなることも多いのが実務の現実です。

修正申告を前向きに検討しやすいケース

次のようなケースでは、修正申告は合理的な選択になりやすいといえます。

・単純な計算ミスが見つかった
・経費の区分を誤っていた
・売上計上時期のズレが明確

これらは、悪質性が低く、事実関係も整理しやすいため、修正申告で早期に是正することで、調査が長引くのを防げることがあります。

慎重に考えたいケース

一方で、次のような場合は、その場で即答せず、慎重な検討が必要です。

・処理の是非に解釈の余地がある
・過去数年分に影響が及ぶ可能性がある
・金額が大きく、影響範囲が広い

このような場合、修正申告をする前に、
「どこまで修正が必要なのか」
「他の年分や税目に波及しないか」
を整理する必要があります。

修正申告をするとどうなるか

修正申告を行うと、原則として
・不足していた税額を納付
・場合によっては過少申告加算税や延滞税が発生
します。

ただし、税務署の指摘を受ける前に自主的に修正した場合や、悪質性が低い場合には、加算税が軽減または課されないこともあります。
この点も、修正申告が「罰」ではない理由の一つです。

その場で言ってよい対応

修正申告を勧められた際の、実務的に無難な対応は次の通りです。

「内容を整理した上で、修正申告が必要かどうか検討します」
「帳簿と資料を再確認してから判断したいと思います」

即答を避けつつ、前向きに検討する姿勢を示すことで、やり取りは落ち着いたものになります。

専門家に相談するタイミング

次のような場合は、税理士への相談を強く検討した方がよいでしょう。

・金額が大きい
・判断に専門的な知識が必要
・将来の申告にも影響しそう

修正申告は一度行うと取り消しができません。
だからこそ、判断に迷う場合は、第三者の視点を入れることが重要です。

結論

修正申告を勧められたからといって、過度に身構える必要はありません。
それは「責められている」サインではなく、申告内容を正しい形に戻すための選択肢です。

個人事業主として大切なのは、
・事実関係を冷静に確認する
・即断せず、影響範囲を考える
・必要に応じて専門家を活用する

修正申告は、正しく使えば、調査を長引かせず、将来の不安を残さないための有効な手段になります。

参考

・税のしるべ「令和6事務年度の所得税調査等の状況」(2025年12月15日)
・国税庁「所得税及び消費税調査等の実施状況に関する公表資料」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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