シリーズ第3回 リファンド方式の実務フローを整理する―販売から返金まで、何がどう変わるのか―

税理士
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前回は、リファンド方式への移行に伴い整理された免税対象物品と購入者要件について確認しました。
第3回では、制度を「実務の流れ」として捉え、販売から返金に至るまでのフローを整理します。

リファンド方式は、免税の考え方を大きく転換する制度です。
そのため、各段階で何が行われ、誰がどの役割を担うのかを正しく理解しておくことが重要になります。

販売時点での基本的な取扱い

リファンド方式では、購入時点では免税は行われません。
販売事業者は、消費税を含めた通常の価格で物品を販売します。

この点が、現行制度との最も大きな違いです。
販売時には「免税販売」として処理するのではなく、あくまで課税取引として扱います。

購入記録情報の作成と登録

販売時には、免税対象となり得る取引について、購入記録情報を作成します。
この購入記録情報は、免税販売管理システムを通じて電子的に登録されます。

登録される情報には、購入者情報、購入物品の内容、金額などが含まれます。
この情報が、後続の税関確認や返金手続の基礎となります。

購入者への説明の位置づけ

リファンド方式では、購入者に対して「購入時には消費税を支払うこと」「出国時に返金手続が必要であること」を説明する必要があります。
免税の成立が後日になる点を正しく伝えないと、トラブルにつながるおそれがあります。

現行制度に慣れている事業者ほど、説明内容の見直しが重要になります。

出国時の税関での手続

購入者は出国時に税関で輸出確認を受けます。
税関では、購入記録情報と実際に持ち出される物品が確認されます。

この輸出確認が行われることで、初めて返金の前提条件が満たされます。
持ち出しが確認されなかった取引については、返金は行われません。

返金手続の流れ

税関での輸出確認後、消費税相当額の返金が行われます。
返金方法は、制度上認められた方法により実施されます。

返金は、販売事業者が直接行う場合もあれば、指定された事業者等を通じて行われる場合もあります。
いずれの場合でも、返金の実施状況を適切に管理することが求められます。

返金未了・返金不能の場合

すべての取引が必ず返金に至るとは限りません。
購入者が出国手続きを行わなかった場合や、税関で輸出確認が受けられなかった場合には、返金は行われません。

この場合、当初の課税販売としての取扱いが確定します。
販売事業者としては、返金未了となった理由を整理し、記録として残しておくことが重要です。

現行制度との実務フローの違い

現行制度では、販売時点で免税が成立し、その後の確認は事後的な管理にとどまっていました。
リファンド方式では、販売、確認、返金という段階が明確に分かれています。

この違いを理解せずに従来の感覚で対応すると、実務上の誤りが生じやすくなります。

移行期における注意点

令和8年11月1日を境に、現行制度とリファンド方式が切り替わります。
制度の適用は販売日を基準に判断されるため、移行期には取扱いを誤らないよう注意が必要です。

特に、販売日と出国日が異なるケースでは、どの制度が適用されるかを正確に把握しておく必要があります。

結論

リファンド方式では、免税の成立が「販売時」から「輸出確認後」に移行します。
その結果、販売事業者の実務は、単なる免税処理から、データ管理と返金対応を含むフロー管理へと変わります。

次回は、この実務フローを前提として、会計処理や消費税申告がどのように変わるのかを整理します。
制度を流れとして理解することが、正確な実務対応につながります。

参考

・東京税理士協同組合 教育情報事業配布資料
「令和7年度税制改正関係(輸出物品販売場制度・リファンド方式)」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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