ひとり社長や小規模事業者にとって、会議費・交際費の判断は悩ましいテーマです。
大企業のように明確な社内規程や承認フローがあるわけでもなく、日々の判断は自分自身に委ねられています。
一方で、
- 金額はそれほど大きくない
- 日常的な支出が多い
という理由から、処理が曖昧になりやすいのも事実です。
本稿では、ひとり社長・小規模事業者という立場に立って、会議費・交際費をどう考え、どう整理すればよいのかを整理します。
大企業と同じ基準で考えなくてよい
まず大前提として、ひとり社長・小規模事業者が、
- 大企業と同じ水準の内部統制
- 完璧な証憑管理
を行う必要はありません。
税務調査で求められるのは、
「その規模なりに、合理的な処理がされているか」
という視点です。
やりすぎても続きませんし、やらなさすぎればリスクになります。
重要なのは、自分の事業規模に合った整理ラインを持つことです。
ひとり社長にとっての会議費の考え方
ひとり社長の場合、
- 社内会議
- 社外打合せ
の区別が曖昧になりがちです。
会議費として考える際の基本は、
「その飲食がなければ業務が成り立たなかったか」
という視点です。
- 具体的な案件の打合せ
- 業務方針や条件の協議
- 進捗確認や意思決定
こうした目的が明確であれば、会議費として整理しやすくなります。
逆に、
- 単なる情報交換
- 関係維持が主目的
であれば、無理に会議費に寄せず、交際費として考える方が安全です。
小規模事業者にとっての交際費の位置づけ
交際費は、「悪い経費」「使ってはいけない経費」と誤解されがちですが、そうではありません。
小規模事業者にとって交際費は、
- 取引先との関係構築
- 信頼関係の維持
という、事業上必要な支出であることも多くあります。
重要なのは、
- 私的な飲食との区別
- 業務との関係性
が説明できるかどうかです。
「交際費であること」自体よりも、
「事業に関係する交際だったか」が問われます。
ひとり社長が陥りやすい誤解
誤解① 金額が小さいから問題にならない
金額が小さくても、説明ができなければ指摘対象になります。
少額であっても、積み重なると調査では必ず目に留まります。
誤解② 1万円以下なら全部OK
1万円基準は、交際費等から除外される一定の飲食費の整理ルールです。
会議費かどうか、業務関連性があるかの判断まで免除されるわけではありません。
誤解③ 自分ひとりだから説明はいらない
ひとり社長であっても、税務上は「会社」と「個人」は別です。
第三者に説明できない処理は、税務調査では通りません。
現実的な整理ラインはここ
ひとり社長・小規模事業者の場合、次の程度を目安にすると現実的です。
- レシートは必ず残す
- 簡単でよいので目的をメモする
- 参加者が分かる程度の記録を残す
完璧な議事録は不要ですが、
後から自分が説明できる状態は確保しておく必要があります。
会議費に寄せすぎない判断も大切
税務リスクを恐れるあまり、すべてを会議費に寄せるのは逆効果です。
- 実態は交際なのに会議費
- 形式だけ整えた会議費
こうした処理は、調査ではかえって不自然に見えます。
「これは交際費だが、事業上必要だった」
と整理した方が、結果的に説明しやすいケースも少なくありません。
結論
ひとり社長・小規模事業者にとっての会議費・交際費は、
厳密さよりも一貫性と説明可能性が重要です。
- 事業規模に合った判断
- 無理のない証憑整理
- 実態に即した区分
これらを意識していれば、税務調査で過度に恐れる必要はありません。
会議費・交際費は、「節税テクニック」ではなく、「事業の履歴を説明するための記録」として捉えることが、最も安全で実務的な考え方といえるでしょう。
参考
・税のしるべ「8年度与党大綱で示された今後の税制改正の方向性、交際費課税は9年度改正で見直しを検討」
・令和8年度 与党税制改正大綱
・法人税法(交際費等の損金不算入関係)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
