ひとり社長・小規模事業者向け 会議費・交際費の考え方 ― 税務調査で困らないための現実解 ―

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

ひとり社長や小規模事業者にとって、会議費・交際費の判断は悩ましいテーマです。
大企業のように明確な社内規程や承認フローがあるわけでもなく、日々の判断は自分自身に委ねられています。

一方で、

  • 金額はそれほど大きくない
  • 日常的な支出が多い

という理由から、処理が曖昧になりやすいのも事実です。
本稿では、ひとり社長・小規模事業者という立場に立って、会議費・交際費をどう考え、どう整理すればよいのかを整理します。

大企業と同じ基準で考えなくてよい

まず大前提として、ひとり社長・小規模事業者が、

  • 大企業と同じ水準の内部統制
  • 完璧な証憑管理

を行う必要はありません。

税務調査で求められるのは、
「その規模なりに、合理的な処理がされているか」
という視点です。

やりすぎても続きませんし、やらなさすぎればリスクになります。
重要なのは、自分の事業規模に合った整理ラインを持つことです。

ひとり社長にとっての会議費の考え方

ひとり社長の場合、

  • 社内会議
  • 社外打合せ

の区別が曖昧になりがちです。

会議費として考える際の基本は、
「その飲食がなければ業務が成り立たなかったか」
という視点です。

  • 具体的な案件の打合せ
  • 業務方針や条件の協議
  • 進捗確認や意思決定

こうした目的が明確であれば、会議費として整理しやすくなります。

逆に、

  • 単なる情報交換
  • 関係維持が主目的

であれば、無理に会議費に寄せず、交際費として考える方が安全です。

小規模事業者にとっての交際費の位置づけ

交際費は、「悪い経費」「使ってはいけない経費」と誤解されがちですが、そうではありません。

小規模事業者にとって交際費は、

  • 取引先との関係構築
  • 信頼関係の維持

という、事業上必要な支出であることも多くあります。

重要なのは、

  • 私的な飲食との区別
  • 業務との関係性

が説明できるかどうかです。

「交際費であること」自体よりも、
「事業に関係する交際だったか」が問われます。

ひとり社長が陥りやすい誤解

誤解① 金額が小さいから問題にならない

金額が小さくても、説明ができなければ指摘対象になります。
少額であっても、積み重なると調査では必ず目に留まります。

誤解② 1万円以下なら全部OK

1万円基準は、交際費等から除外される一定の飲食費の整理ルールです。
会議費かどうか、業務関連性があるかの判断まで免除されるわけではありません。

誤解③ 自分ひとりだから説明はいらない

ひとり社長であっても、税務上は「会社」と「個人」は別です。
第三者に説明できない処理は、税務調査では通りません。

現実的な整理ラインはここ

ひとり社長・小規模事業者の場合、次の程度を目安にすると現実的です。

  • レシートは必ず残す
  • 簡単でよいので目的をメモする
  • 参加者が分かる程度の記録を残す

完璧な議事録は不要ですが、
後から自分が説明できる状態は確保しておく必要があります。

会議費に寄せすぎない判断も大切

税務リスクを恐れるあまり、すべてを会議費に寄せるのは逆効果です。

  • 実態は交際なのに会議費
  • 形式だけ整えた会議費

こうした処理は、調査ではかえって不自然に見えます。

「これは交際費だが、事業上必要だった」
と整理した方が、結果的に説明しやすいケースも少なくありません。

結論

ひとり社長・小規模事業者にとっての会議費・交際費は、
厳密さよりも一貫性と説明可能性が重要です。

  • 事業規模に合った判断
  • 無理のない証憑整理
  • 実態に即した区分

これらを意識していれば、税務調査で過度に恐れる必要はありません。
会議費・交際費は、「節税テクニック」ではなく、「事業の履歴を説明するための記録」として捉えることが、最も安全で実務的な考え方といえるでしょう。

参考

・税のしるべ「8年度与党大綱で示された今後の税制改正の方向性、交際費課税は9年度改正で見直しを検討」
・令和8年度 与党税制改正大綱
・法人税法(交際費等の損金不算入関係)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました