【第3回】芸能ガバナンスの再構築 透明性・安全性をどう確保するか

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エンタメ業界では、契約や労務管理が属人的に行われてきた歴史があります。しかし、Vチューバー市場の拡大と事務所倒産の増加を背景に、今求められているのは「透明性」「ガバナンス」「安全性」の確立です。

本稿では、ガバナンスの観点から芸能事務所の課題と、最新の改善事例を整理します。

1 ガバナンス不在が引き起こした問題

Vチューバー事務所の倒産では、以下のガバナンス不備が露呈しました。

・売上の開示が不十分
・経理遅延や報酬未払い
・タレントが自分の受取額を把握できない
・安全性・労務の管理が不十分

ガバナンスの弱さは「信頼の欠落」を招き、最終的に事務所のブランド価値とタレントのキャリアを大きく損ないます。


2 透明性のある報酬管理が信頼の基礎

STARTO ENTERTAINMENTが行う「報酬明細の内訳開示」は、透明性強化の象徴的な取り組みです。

・番組ごとの売上額
・事務所取り分
・タレントへの支払い額

こうした情報を毎月本人へ開示することで、
「何の案件で、いくら発生しているか」が明確になります。


3 ハラスメント対策は不可欠なガバナンス

近年の芸能界では、ハラスメント問題が顕在化しています。
ガバナンス上、以下の体制整備が求められます。

・社外相談窓口(心理士等の中立第三者)
・社内担当者の設置
・ハラスメント防止研修
・未成年タレントへの安全教育
・性的同意教育

現場でのトラブルを未然に防ぐには、双方が“同じ基準”でコミュニケーションを取るための教育が必要です。


4 テレビ局で進む安全意識の改革

制作現場では「インティマシーコーディネーター」や「リスペクトトレーニング」が導入されています。

・出演者の心身を守るための専門職
・スタッフ全員向けの尊重教育
・安全確保を前提にした撮影体制

これらは、海外ドラマ制作の基準を日本に持ち込む取り組みとして注目されています。


5 タレントと企業の信頼構築がガバナンスの目的

ガバナンスの最大の目的は、タレントと企業の「対話と信頼」を制度で支えることです。

透明性が高まれば、タレントは安心して創作に集中できます。企業にとっても、不祥事による損失を防ぎ、長期的なブランド価値を維持できます。


結論

エンタメ業界のガバナンスは、今まさに「再構築」の段階にあります。
透明性・安全性は単なる倫理問題ではなく、事務所経営の持続性に直結する要素です。

契約・報酬・安全・労務。この四つの軸を基礎として、タレントファーストの環境を整備できるかどうかが、今後のエンタメ企業の競争力を左右します。


出典

・日本経済新聞2025年12月1日朝刊「SNSで契約 Vチューバー受難」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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