外注費は、人件費と並んで税務調査で必ず確認される項目です。
特に、ひとり社長や小規模事業者では、長年の慣行や実務上の都合から、外注費として処理している支出がそのまま放置されているケースも少なくありません。
しかし税務調査では、
「なぜ外注費なのか」
「本当に雇用ではないのか」
という点が、かなり具体的に確認されます。
本稿では、税務調査で人件費と判断されやすい外注費処理の典型例を整理し、どこが問題視されるのかを解説します。
外注費が問題になる本当の理由
外注費が問題になるのは、単に勘定科目の問題ではありません。
税務上は、次のような影響が連動して生じるためです。
- 源泉所得税の未徴収
- 給与としての課税関係の是正
- 社会保険の適用関係
- 消費税の課税区分の修正
そのため税務調査では、外注費は「金額が大きく、波及効果が大きい項目」として、慎重に確認されます。
問題になりやすい外注費処理①
毎日・毎週決まった時間に来ている
外注先であるにもかかわらず、
- 出勤日が決まっている
- 勤務時間が固定されている
- 事業所に常駐している
といった実態がある場合、
税務調査では「従業員と何が違うのか」が問われます。
外注であれば、本来、
- 作業時間の裁量
- 作業方法の自由
があるはずです。
時間管理が事業者側にある場合、人件費性が強く疑われます。
問題になりやすい外注費処理②
業務内容を細かく指示している
次のような状況も要注意です。
- 作業手順を逐一指示している
- やり方や順番まで決めている
- ダメ出しや修正指示を頻繁にしている
これは「成果物に対する依頼」ではなく、
働き方そのものを管理している状態と見なされやすくなります。
外注費として成立するには、
「何をやるか」ではなく
「何を完成させるか」
に重きが置かれている必要があります。
問題になりやすい外注費処理③
報酬が時間給・日給になっている
外注費でありながら、
- 時間単価
- 日当
- 月額固定で作業量に関係しない
といった報酬体系になっている場合も、人件費と判断されやすくなります。
外注費は本来、
- 業務単位
- 成果物単位
で報酬が決まるのが基本です。
「働いた時間に対する対価」になっていると、雇用との区別が難しくなります。
問題になりやすい外注費処理④
他の仕事をしていない、またはできない
外注先が、
- 実質的にその事業者専属
- 他の取引先がない
- 他の仕事を制限されている
といった状況にある場合、
「独立した事業者といえるのか」が疑問視されます。
特に、
- 長期間にわたる継続取引
- 収入の大半を占めている
場合は、調査で必ず確認されるポイントです。
問題になりやすい外注費処理⑤
契約書はあるが、内容と実態が違う
業務委託契約書があっても、
- 実態が契約内容と合っていない
- 契約が形式的なものにとどまっている
場合、税務調査ではほとんど意味を持ちません。
契約書は、
「実態を裏付けるもの」
であって、
「実態を覆すもの」
ではないからです。
外注費と判断されるために重要な視点
税務調査で外注費として説明するためには、次の視点が重要になります。
- 指揮命令をしていない
- 作業方法に裁量がある
- 成果物に対して対価を支払っている
- 独立した事業者としての実態がある
すべてを完璧に満たす必要はありませんが、
人件費との違いを説明できる要素が必要です。
曖昧な場合は「安全側」の判断も必要
実務では、
「外注か人件費か微妙」
というケースも多くあります。
その場合、
- 最初から人件費として処理する
- 契約や働き方を見直す
といった判断の方が、結果的にリスクを抑えられることも少なくありません。
外注費は、一度否認されると影響が大きいため、
「攻めた処理」よりも「説明できる処理」が重要です。
結論
税務調査で問題になりやすい外注費には、
共通するパターンがあります。
- 働き方が従業員に近い
- 管理しているのは事業者側
- 報酬が時間に連動している
これらが重なるほど、人件費と判断されるリスクは高まります。
外注費として処理するのであれば、
「なぜ雇用ではないのか」
を説明できる状態を、日常の実務の中で整えておくことが重要です。
参考
・法人税法(給与等・外注費関係)
・所得税法(源泉徴収関係)
・税のしるべ(税務調査関連記事)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
